第四話 場所
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思いがけない一言に、3人は言葉を失ってしまう。そこに飛鳥が尋ねた。
「侮辱って、どういうことなの?」
「歌も踊りも下手なのよ、全然なっていないわ! 昨日のライブなんかひどかったものね!!」
「えみちゃん、昨日のライブ見に来てくれたの?」
「え、ええ。それが何か?」
思わぬ輝穂の切り返しにえみがうろたえていると、輝穂は唐突にえみの両手をとった。
「ライブ来てくれてありがとう! えみちゃんに見てもらえたなんて感激だよ!!」
「ええい離しなさい! とにかく、あんたたちとっとと解散しなさい!!」
えみの口から再び解散という言葉を聞かされる。それに対し、輝穂は柔らかな笑みを浮かべた。
「しないよ、解散」
優しい口調だがそこには確かな決意があった。
「今日、教室でみんなが次のライブを楽しみだって言ってくれて、私たちのことを応援してくれた。だから、私たちは続ける」
「……ふ、ふん! 意識だけは一人前ね! 好きにすればいいわ!」
えみはそう言って部室から出ようとした。しかし、輝穂がえみを呼び止めた。
「待ってえみちゃん! たしかにえみちゃんの言う通り私たちは歌も踊りも下手かもしれない。でも、アイドルを続けてまたみんなに楽しんでほしいの!」
えみは立ち止まって、背を向けたまま輝穂の言葉を聞いた。
「だから、私たちにアイドルのこと、教えてください!!」
えみは振り返って輝穂たちを見た。すると3人ともえみに対して頭を下げていた。
「はぁ、仕方ないわね。私の指導は厳しいわよ!」
えみの言葉に、3人はパッと顔をあげた。
「望むところよ!」
「よろしくね、えみちゃん!」
「ありがとうえみちゃん!」
力強く瑞姫が言って、輝穂と飛鳥は笑顔を浮かべた。
「いい、アイドルはお客さんを笑顔にすることが大事なの。今からあんたたちに魔法の言葉を教えるわ」
そう言ってえみは両手で動きを加えながら、言った。
「にっこにっこにー! はい、あんたたちも!」
「「「にっこにっこにー!」」」
輝穂たちはえみの動きを真似しながら言った。
「恥ずかしがっちゃダメよ、もう1回!」
「「「にっこにっこにー!」」」
放課後、新たにできたアイドル研究会の部室に彼女たちの声が部室に響きわたる。
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