暁 〜小説投稿サイト〜
ママライブ!
第三話 舞台
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
顔には悲壮感がまったく感じられず、逆に強い決意を感じられる。



 そして、輝穂は一歩前に出た。

「みなさんこんにちは、Lyraです! 今日は来てくれてありがとう!」

 その力強い言葉と姿勢に、飛鳥と瑞姫の不安は自然と消え去って行った。

「精一杯歌って踊ります、どうぞ楽しんでいってください!」



 音楽のイントロが流れ出して、彼女たちのステージが始まった。

 アップテンポな曲調に合わせて3人は踊りだす。

 見てくれている人はたしかに少ないが、それでも見に来てくれた人のため、彼女たちは精一杯のパフォーマンスを見せる。

 最初の歌いだしは輝穂。思い付きでアイドルを始め、飛鳥と瑞姫を誘って今がある。

 その力強い踊りと歌声は、見る人を引き付ける。



 輝穂の次は飛鳥。彼女のつくった衣装が踊りとともにヒラヒラと舞う。

 柔らかくなめらかな踊りと歌声は彼女たちに調和をもたらす。



 Bメロに入って瑞姫が歌いだす。綺麗で伸びのある踊りと歌声には存在感があり、彼女のつくった曲に見事にハマっている。


 曲はサビへと突入し3人の歌声が重なった。それぞれ個性的な歌声は、重なると見事なハーモニーを奏でていた。

 踊りもよりいっそう激しさを増して、少ない観客たちからは感嘆の息が漏れる。



 この瞬間、この空間はまちがいなく彼女たちLyraのステージだった。

 やがて曲は最後のサビに突入し、彼女たちは最後の力を振り絞って身体を動かし、歌声を絞り出す。

 3人はお互いに顔を見合わせて、最後の瞬間を計った。

 最後の歌詞を歌い切って、あとは曲のアウトロに合わせて踊りきるのみ。



 そして演奏が終わると同時に最後の決めポーズをとって、彼女たちのステージは終わった。

 3人とも呼吸が乱れて肩を上下させている。けれど表情は晴れやかで笑顔を浮かべていた。

 客席から、小さく手を叩く音が聞こえた。見てくれた人数は少ないけど、見ていた人全員が彼女たちに拍手を送っていた。

 輝穂は飛鳥と瑞姫に目配せをして、笑顔を見せる。



 3人は舞台の一番前まで歩いて行ってお互いの手をとった。



「「「ありがとうございました!!」」」


 観客たちに頭を下げて見てくれた礼を言う。




 彼女たちへの拍手は少しずつ大きくなって、いまだ鳴りやまない。




[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ