第二話 名前
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「ねえ飛鳥、なに描いてるの?」
放課後の音楽室、曲に合わせたダンスの振り付けを踊りながら考えていた輝穂は、スケッチブックを片手にペンを動かしている飛鳥に尋ねた。
「衣装のイメージだよ。ライブの曲はこの前決まったから、その曲のイメージに合わせて衣装のデザインを考えているの」
「どんなの? 見せて見せて!!」
輝穂は踊るのを一旦やめて飛鳥につめ寄る。そう言われて飛鳥は輝穂にスケッチブックを見せた。それを見て輝穂は目を輝かせる。
「おぉ、かわいい!」
「ありがとうっ」
「ねえ。私も歌詞考えたから、聴いてくれる?」
輝穂と飛鳥がそんなやりとりをしている中、瑞姫が言った。
「ほんとに!? 鷲見さん凄いねっ! もちろん聴くよ!!」
「私も聴きたい!」
その言葉を聞いて、瑞姫はピアノで曲を演奏して歌を歌った。
瑞姫の演奏が終わって、輝穂と飛鳥はそれぞれ感想を言う。
「すごくいいよ鷲見さん!」
「そうだね。なんだか私たち3人の始まりって感じで、私は好きだなぁ」
「あ、ありがと。……それと」
輝穂と飛鳥の率直な意見に、瑞姫は思わず照れる。そしてなにやら言いたげに呟いた。
「……瑞姫でいいわよ。鷲見さんじゃなんだかよそよそしいし。私も名前で呼ぶから……輝穂、飛鳥」
「……瑞姫っ!!」
感極まった様子の輝穂が、瑞姫に飛びついた。そんな輝穂を見て、瑞姫と飛鳥はあきれた表情を浮かべる。
「もう、離れて輝穂っ」
「いやーっ」
迷惑そうに瑞姫は言うが、輝穂は聞かずに離れなかった。
「あはは……。改めてよろしくね、瑞姫」
「うん。よろしく、飛鳥」
あの音楽室での出会いから3日、こうして3人の距離は少し縮まった。
「そうだ、このあと私の家に来ない?」
唐突に、飛鳥はそんな提案をする。それを聞いて輝穂は目を大きくした。
「飛鳥の家? いくいく!!」
「でも、迷惑じゃないかしら?」
瑞姫は少し不安げに、声を小さくして言う。
「大丈夫だよっ。それに、瑞姫にとっていいものがあるの」
「まあ、飛鳥がそう言うなら。私にいいものっていうのも気になるし」
自分にとっていいものと聞かされて、瑞姫も乗り気になった。
「じゃあ決まりだね」
「よーし。飛鳥の家に、レッツゴー!!」
「すごく、大きいわね……」
無事に飛鳥の家に着いた3人。その外観を見た瑞姫はそんな感想を漏らした。
「飛鳥の家はすっごいお金持ちなんだよー!」
「なんでテルが得意げなの……」
輝穂のそんな様子に飛鳥はあきれる。そんな中、瑞姫はポツリとつぶやいた。
「いいなぁ……」
そんな瑞姫のつぶ
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