第二話 名前
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そう大声で叫んだのは、パソコンで曲をつくっていた瑞姫だった。
「ほんとう瑞姫!? 聞かせて聞かせて!!」
「落ち着いて輝穂。今聞かせてあげるから」
そう言って瑞姫はパソコンを操作して完成した曲を再生させた。
ピアノ音のイントロが流れると、輝穂は興奮した様子で喋りだした。
「おぉぉぉ、カッコいいね!」
「ちょっとテル、黙って聴きなさいよ」
そんな輝穂を飛鳥がたしなめる。それからは輝穂は大人しくパソコンから流れる曲を聴いていた。
曲が終わると、瑞姫は少し不安げな表情を浮かべた。
「ど、どうかしら。変じゃなかった?」
「いいよ瑞姫! とってもカッコいい曲だったよ!!」
「そうだね。なんだか元気のでる曲で、私感動しちゃった」
「輝穂、飛鳥……ありがとう」
「こっちこそ、ありがとうね瑞姫!!」
こうして、彼女たちの曲が完成した。
翌日、放課後になると輝穂たちはポスターを貼った掲示板の前に来ていた。
「グループ名、入ってるかな〜」
「ドキドキするね」
「さすがに1日だと入ってないんじゃない」
「もぅ瑞姫、そんなこと言わないでよ〜」
「ほら、早く確認しましょ」
「そうだね!」
瑞姫が催促をして、輝穂はグループ名募集の箱の中を覗き込んだ。
「あ、あったよ!!」
そこには丁寧に折りたたまれた1枚の紙が入っていた。輝穂はそれを手に取って飛鳥と瑞姫に見せる。
「ほんとだ! やったねテル」
「それで、なんて書かれているの!?」
折りたたまれた紙を広げて、3人はそこに書かれた文字を目にする。
『Lyra』
「英語だね。なんて読むのかな?」
「たぶん、リラって読むんだと思うけど、意味は解らないかな」
「私も知らないわ。でもどこかで見たことあるのよね」
「……あ、色鉛筆?」
瑞姫の何気ない疑問に飛鳥は少し考えて、そして思い出した。
「それだわ! でも、なんで色鉛筆のメーカーなのかしら?」
「さぁ? でもこれしか入ってなかったし」
「Lyra……なんだか素敵な響き。ねえねえ、グループ名これにしようよ!」
「テルがいいなら、私は構わないけど」
「他に入ってなかったものね。私も異存はないわ」
「じゃあ決まりだね! 今日から私たちは、Lyraだ!!」
輝穂の叫びが廊下に響き渡る。それをたまたま通りかかった教師が、うるさいと3人を叱ったりするなんて一幕があった放課後のひととき。
Lyra。それは彼女たちのグループ名。
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