第二話 名前
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それから30分ほどそれぞれ意見を出し合ったが、グループ名は決まらなかった。
「なかなか決まらないねー」
「そうだね、なかなかピンとくるものがないっていうか……」
「私たちに特徴がないのが問題かしらね」
「名前も性格もバラバラだもんね」
3人はうーんと唸りをあげながら頭を悩ませる。そんな状態がさっきからずっと続いていて、グループ名は決まりそうにない。
「私たちだけで決めるのは難しそうだね」
「そうね。他の人の意見も聞いてみたいけど……」
飛鳥の言葉に瑞姫が同意する。自分たちで考えて決まらないなら、外の人間の意見を取り入れたいというもの。
問題は彼女たちがアイドルをしているということを知っている人間がほとんどいないというところにある。
「そうだ!!」
唐突に輝穂が声をあげて勢いよく立ち上がった。
「どうしたのテル。なにか思いついた?」
「うん。グループ名じゃなくて、いい方法を思いついたんだ」
「方法?」
「うん、えっとね――」
輝穂は思いついたアイデアを2人に説明する。はたしてそれは、グループ名が決まらない現状を打破するものとなるのだろうか。
翌日。音ノ木坂学院内の掲示板に、ひとつのポスターが貼りだされた。
その珍しさからか目にした生徒がちらほら立ち止まっていた。
そのポスターには可愛らしいイラストを添えつつ、こう書かれていた。
『織部輝穂
琴宮飛鳥
鷲見瑞姫
私たち、アイドル始めました! 新入生歓迎会当日、講堂にてライブをします! そしてグループ名募集中!!』
ポスターの前には机が置かれ、その上にはグループ名募集中と書かれた箱があった。
そう。輝穂が打ち出したアイデアとは、ライブの宣伝とともにグループ名を募集するというものだった。
グループ名に関してだけ言えば、ただの丸投げである。
放課後、昨日と同様に3人は飛鳥の家でそれぞれ作業をしている。
輝穂はダンスの振りつけを考え、飛鳥はミシンを使って本格的に衣装をつくり、瑞姫は琴宮家のパソコンを借りて曲づくりをしていた。
「しかしまあ、輝穂はよく学校でグループ名を募集しようなんて考えたわね」
いまだ慣れないパソコンと格闘しながら瑞姫は言った。
「ほんとそうだよね。でもテルにしてはいい方法だと思うよ」
「ちょっと飛鳥、それ褒めてるの!?」
「ちゃんと褒めてるよ」
「でも今日はグループ名の紙入ってなかったわね」
「まあ初日だし仕方ないよ。きっと明日か明後日には素敵なグループ名が入ってるはずだよ!」
そんな会話をしながらでも、それぞれの作業は着実に進んでいく。
「できたー!!」
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