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ママライブ!
第一話 邂逅
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さんよね?」

 瑞姫の言葉に飛鳥は頷いて、輝穂は我慢できないといった様子で瑞姫の手をとった。

「すごいすごーい! 鷲見さんピアノ上手だね、歌もとっても上手だった!」
「あ、ありがとう……」

 輝穂のまっすぐな賞賛の言葉に、瑞姫は気恥ずかしさがありながらも嬉しさが胸からこみ上げてくるような感覚でいた。

 今まで趣味でしていた自分のピアノと歌は他人に聴かせたことがなく、聴かれた恥ずかしさはあるものの、誰かに褒められたのはこれが初めてだった。

「鷲見さん。今歌ってた曲、聞いたことない曲だったけど自分で作ったの?」

「え、ええ、そうよ」

 飛鳥から出た疑問に、うろたえつつも正直に答える瑞姫。まだピアノ教室に通っていた頃は課題曲をこなすだけだった。
 けど、教室を辞めたあとでも自宅でピアノは続けた。

 いつしか既存の曲を弾くことに飽きた瑞姫が始めたのが、自作の曲づくりだった。

「鷲見さん! 私たちとアイドルやらない!?」
「ア、アイドル!? 私が!?」

「うん! 鷲見さん綺麗でかわいいし、一緒にアイドルやって鷲見さんの曲を一緒に歌って踊れたら素敵だと思うんだっ!!」

「私の曲を、一緒に……」

 瑞姫は考える。今さっき輝穂と飛鳥に自分の曲を認められて嬉しかった。
 輝穂の言うように一緒にアイドルをして自分の曲をもっと大勢の人に認めてもらえたら……。

「アイドルと言っても、部活でやるだけだよ。今は新入生歓迎会の日にライブをしようって考えていて、あとは文化祭とかでライブしたいなーって感じなの。べつに芸能界に進むとかじゃないから、そこは安心して。

 ……それで、私も鷲見さんの曲素敵だと思ったし、鷲見さんと一緒にアイドルできたら嬉しいな」

 悩んでいる様子の瑞姫に、飛鳥が言った。飛鳥と輝穂は自分の曲を認めてくれた。その事実を瑞姫が再確認した時、胸の内のもやがスッと消えたような気がした。



「――やるわ、アイドル」



 確かな決意を胸に、瑞姫は言った。その言葉を聞いて、輝穂がおもむろに瑞姫に飛びついた。

「ありがとう鷲見さんっ!!」
「ちょ、ちょっと。離れなさいよ……」
「鷲見さ〜ん」

 瑞姫が離れるようにと言うが、輝穂に離れる様子はなく瑞姫の身体に頬をすりよせる。

「な、なんなのよもう……」
「ごめんね鷲見さん。そうなったテルはしばらくそのままだと思うわ」

 飛鳥の言葉に瑞姫は愕然とする。ただ、こういうスキンシップも悪くはないと思い始めていた。

「それでなんだけど鷲見さん。さっき言ったように今度の新入生歓迎会でライブをするんだけど、鷲見さんに曲をつくって欲しいの」
「うぇえ! い、いきなりね……まあいいわ。それならつくっ
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