第一話 邂逅
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輝穂がぶーぶーと文句を垂らし、飛鳥はあえてそれを無視して話を進める。
「でも新入生歓迎会の日の放課後に、講堂の使用許可をもらえたのはよかったわね」
「そうだね! これで歓迎会でライブができる!!」
「ともあれ最低でもあと1人必要になるのね。テル、誰か心当たりある?」
「う〜ん、クラスの人で誰かやってくれないかな?」
「……テルの思いつきに付き合う物好きなんて、そういるとは思えないね」
「飛鳥ひどーい。でも、飛鳥は付き合ってくれてるよね?」
「そ、それは、なんて言うの? 私とテルの仲なんだし……」
飛鳥は照れた様子で、少しだけ頬が赤くなっている。
「そうだねー、私たち長い付き合いだもんねー。あぁ誰かやってくれないかなー?」
「あと1人集めることは今考えても仕方ないし、追々考えましょう。とりあえず最初は何をつくるかだよね。どうせ2人だけでもやるんでしょ?」
「もちろんっ! で、何をつくるの?」
「はぁ〜。普通はアイドルなら衣装があって曲があってライブをするものでしょ? でも私たちには衣装も曲もないじゃない」
「そういえばそうだった!! どうしよう、曲も私たちで作ったオリジナル曲があるとちょー盛り上がると思うし、曲のイメージに合った可愛い衣装も欲しいし……」
「衣装は私が作るわ、裁縫得意だし。とは言っても当面は曲作りね。でも私、楽器とかやった事ないのよね。テルは?」
「わ、私も……」
2人は同時にため息をついた。すると輝穂が何か思いついて顔を上げた。
「そうだ、音楽室行ってみない!? 作曲できる子がいるかもしれないし、その子を勧誘すれば部員も足りるし、一石二鳥だよ! それじゃあレッツゴー!!」
輝穂は飛鳥の手を取って音楽室へと向かう。そんな中、輝穂に手を引かれている飛鳥が小さく呟いた。
「そんな上手いこと作曲できる人がいるわけ……」
鷲見瑞姫は、音楽室でピアノを弾きながら歌っていた。
放課後になると瑞姫は毎日音楽室に足を運んで、こうして自作の歌を歌っている。その姿は時に神々しく、見る者を魅了させる。
「ふぅ……」
曲を歌い終えて瑞姫は一息ついた。鞄から水筒を取り出して喉を潤す。
そこで瑞姫は、なんだか音楽室の外が騒がしいことに気が付いた。しかしグランドピアノの前に座った瑞姫の位置からは、外の様子が見えない。
「何かあったのかしら?」
すると、音楽室の扉が大きな音を立てて勢いよく開かれた。
「な、なに?」
慌てて扉のほうに視線を向ける瑞姫。そこにいたのは顔と名前は知っているクラスメイトの2人、織部輝穂と琴宮飛鳥。
「同じクラスの織部さんと琴宮
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