シーホーク騒乱 6
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て目標を吹き飛ばす呪文だが、狙いはカルサコフではなく、その頭上。
大きな樽が突風であおられ、ルイーツァリに落下。中身がぶちまけられた。
独特の臭気が立ち込める。
「なんだこれは……、鯨油?」
「そのとおりですわ! ――《雷精よ・紫電の衝撃以て・撃ち倒せ》」
黒魔【ショック・ボルト】の電線が地面に火花を生じさせた。周囲を濡らす鯨油に火が点き、ルイーツァリの巨体にも燃え広がる。
「ぐおおおおッッッ!?」
「《駆けよ風・駆けて抜けよ・打ち据えよ》!」
ウェンディはさらに続けて鯨油入りの樽を落として火勢を強める。
秋芳は飛翔鉄拳から闇雲に逃げ回っていたわけではない。
港湾労働者たちにまざっての荷運び作業でこの場所に鯨油樽があることは知っていた。
総督府でルイーツァリの姿をひと目見た時から剣や魔術で倒すのは困難と考え、鯨油入りの樽が多数置かれた荷物置き場に誘導し、先回りしていたウェンディと協力してこうして火計をくわだてたのだ。
魔鋼鉄のゴーレムがこの程度の火で燃え尽きることはないだろう。
だが中にいる人はどうか。
延焼による高熱で蒸し殺されるか、酸欠によって窒息させることができるはずだ。
はたして秋芳の策は成功したのか否か――。
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