シーホーク騒乱 6
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「この異様な動きに先程の奇妙な技と剃りあげた頭……。噂に聞く東方武闘僧(モンク)か?」
はるか東方にはモンクと呼ばれる徒手空拳の戦闘術や魔術と似て非なる気功術を使う集団がいるという。
「目標固定、ホーミング効果ON、鉄拳射出!」
猛烈な勢いで撃ち出されたふたつの鉄の拳を紙一重で避けるも、数メトラ先で旋回し、ふたたび秋芳に迫る。
「だがいかなる体術を身につけていようが、しょせんは生身の人間。動き続けている限り、かならず疲労する」
自動追尾効果により延々と狙い続けてくる鉄拳を、どこまでかわすことができるか。
右に避け、左に躱し、地を蹴り、宙を舞い、ときに走る。
走る、走る、走る――。
「距離を取るつもりか。たしかに射出した鉄拳の操作範囲には限りがあるが、こちらもこうして距離をつめれば無意味だぞ」
総督府内から街中へと戦いの場が移る。
秋芳を一〇メトラ間隔で追い詰め、隙をうかがうカルサコフ。
動きが鈍った時を見計らい攻撃するつもりだ。どのような呪文を使おうか、見定めていると、秋芳は様子を見ているカルサコフにむかっていきなり駆け出した。
「なにぃ!?」
速い。
ほとんど一瞬で目前に迫られた。
とっさに攻撃。先端の取れた腕で放った大振りの攻撃は簡単に避けられた。それどころかそれを足場に素早くかけ登ってくる。
まるで猫科の猛獣か猿のような人間離れした動きは軽功のなせる技。
頸部のつなぎ目に切り上げ気味の刺突を入れて即座に離脱。
人間ならば致命傷となる部分への攻撃にカルサコフの視界が、モニターの映像が乱れる。
『――メインカメラ損傷――バランサー低下――』
「まだだ、たかがメインカメラをやられ――ブゥハァッ!?」
おのれを鼓舞した瞬間、強い衝撃に襲われる。
秋芳を狙い、追尾していた飛翔鉄拳がカルサコフを、ルイーツァリを撃った。
誤作動を起こしたわけではない。たんに秋芳が命中寸前に避けたため、射線の急変更ができずその場にいたルイーツァリの巨体に命中しただけだ。
『――損傷率一八パーセント――被ダメージ小破――戦闘続行問題なし――ただし自己修復機能では全体の○○までしか回復できません――』
「……お、おのれ……」
ルイーツァリ本体と拳に付与された同種の防性魔術は効果を相殺し、魔術によるダメージ減少効果は発動しなかった。
機体はまだいい。だが破城鎚に匹敵するふたつの鉄拳による打撃による衝撃で、内部にいたカルサコフは全身を強く打ち、数秒間朦朧状態におちいる。
そこに――。
「《駆けよ風・駆けて抜けよ・打ち据えよ》!」
どこからかウェンディの呪文詠唱が響く。
黒魔【ゲイル・ブロウ】。局所的に収束する突風を起こし
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