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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 5
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物資は陸路だけではなく海路も使ってモンゴル軍の陣営に送られてくる。
戦地より遠く離れた泉州の地から木材や食糧を満載した船団はしかし、目的地である崖山にたどり着くことができなかった。
泉州。中国大陸の東南海岸に位置し、この時代は国際貿易として栄えていた。日本や東南アジア諸国をはじめ、インド、ペルシア、アラブなどの商船があつまり、何十万人もの外国人が居住し、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教、ヒンズー教などの寺院が建ちならんでいる。
『アラビアン・ナイト』の名でも知られる『千夜一夜物語』の中で語られる多くの物語の中のひとつ『アラジンと魔法のランプ』の冒頭、アラジンが母親とともに住んでいた街はこの泉州ではないかという説がある。なにせアラブ系の住人だけでも何万人もいたのだからその説もうなづける。
アラビアン・ナイト――千夜一夜物語――。
妃の浮気を知ったことで女性不信におちいった王は不貞の妃を処刑し、毎晩清らかな乙女を寝所に呼んでは翌朝に首を刎ねるという常軌を逸した行為をくりかえすことになる。
大臣がこまり果てていると、彼の娘である美しくて賢いシェヘラザード姫がその役目を買って出る。 シェヘラザードは夜な夜なおもしろいお話を語り、王を魅力的な物語の虜にしてしまおうと考えたのだ。
聡明なシェヘラザードの唇から紡がれる数多の物語世界に引き込まれていく王。だが朝になればシェヘラザードは口を閉ざしてしまう。続きを知りたい王は彼女を殺せず、生かしておかずにはいられなくなる。
そのようなやりとりが千と一夜にわたってくりかえされる。それゆえ千夜一夜物語――。
最終的には改心した王が蛮行をあらため、シェヘラザードも死なずにすむという結末なのだが、これは原典には書かれていない、後世につけたされたものだ。
『千夜一夜物語』には、はっきりとした底本というものが存在しないという。千一夜という言葉は大江戸八百八や八百万の神々と同様、単純にその数を指すのではなく、数えきれないほどたくさんあることや、終わりのないことを意味している説がある。
最初から結末が存在しない、終わりのない物語。無限の可能性を感じさせる、なんとも魅惑的な設定だ。
閑話休題。
「出航した船がことごとく戻ってくるとはなにごとだ。しかも中には積み荷をなくしたものまであるというではないか!?」
宋朝を見限り、モンゴル帝国に協力して身の保身に走った泉州の政商、
蒲寿庚
(
ほじゅこう
)
は地団太を踏み、紫檀の机に拳を叩きつけた。一〇〇年間に三センチしか成長しない紫檀はその美しさや珍しさから金と同じように高額で取り引きされていた。この蒲寿庚という人物の財力のほどが知れる。
このままでは保護を求めていた宋の皇族を殺害してまでして手に入れた信頼をうしないかねない。
「乗
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