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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 5
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いおまえは何人だと思わんばかりに異国の言語まじりの科白。
だがその繰り出す言の葉、そのひとことひとことに濃密な呪力が練り込まれた甲種言霊だった。
相手の精神を強引に歪め、感情を操作し、己が虜にしようとする魅力の呪言。
「さぁ、褥の準備はできている。お姫様だっこをしてはこんであげるよ、愛しい人」
「……お姫様だっこですって? あいにくとあたしの好みの男性は、お姫様だっこのことをかたくなに『半魚人持ち』て言いはる人なの」
首にまわされた褐色の手を京子は冷ややかに払いのけた。
「それにね……、あたしって面食いなの。だからあなたみたいな風変わりなお鼻をしている人の誘いを受けるのは、あたしにとっては耐えられないことなのよ」
普段の京子ならことさら相手の容姿をあげつらうようなことはしない。だが美貌を鼻にかける相手に対してあえて痛烈な拒絶の返答をした。
「ぼくの魅了が効かない、だと……。いかなる苦行僧をも魅了し、堕落させた。スジャータの粥にひとしい、このぼくの魅了が!」
スジャータとは飲まず食わずの苦行をしていて倒れたお釈迦様を介抱した女性の名だ。
そのさいに出された乳粥を食べたお釈迦様は元気を取り戻し、苦行では悟りを得ることはできない。という悟り≠得るきっかけになった女性だ。
京子の容貌。きれいにととのった鼻すじに健康的な色合いの唇、すっとのびた眉には意志の強さと聡明さがうかがえる。内面からあふれ出る自信と生命の輝きに満ちたその身からは籠絡された者特有の病的な雰囲気は微塵もない。五節の舞姫さながらに麗しく、それでいて脆弱さの類をまったく感じさせないのだ。
たとえ妾たちが操られていなかったとしても、その快活で健康的な魅力の前ではいかなる美姫も見劣りして見えたことだろう。
そんな京子とは対照的に智羅永寿の相貌は醜くゆがみ、両眼には熱湯わきたっていた。やがて肉感的な唇から押し出された声は平静さを装おうとして失敗し、ひび割れていた。
「このぼくを否定するんだね」
「ご理解できて嬉しいわ。お鼻の大きなお兄さん」
「ぼくにはどうしても許せないことがこの世にある。それはぼくを拒絶する女性さ――??????」
アガースラ。異邦の言葉が智羅永寿の唇からもれた瞬間、御車の下からのびた巨影が京子の上半身をおおい、ぞぶり、と噛んだ。
蛇だ。
「そいつはアガースラといって極めて穏形に長けた大蛇でね、かの英雄神クリシュナでさえすぐには見破れず、あやうく食べられそうになったほどさ。――ああ、それともうひとつ。ぼくはぼくよりも強く賢そうな女の存在はどうにも癪でね、死んでもらうよ」
齢千年を経た大樹のように太い胴体をした漆黒の大蛇が京子の上半身に噛みつき、喰いちぎった。
「む
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