エイリアンVS陰陽師 宇宙人がなんぼのもんじゃい! 1
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たのは春虎たちだけではなかった。
フィールドスコープをのぞいて空を見上げ続けていた天馬がふと視線を下げると、灰色の建造物が視界に入った。大きなグランドに大きなプール、アーチ状をした天井のある建物は体育館だろうか。
学校の校舎だ。
その校舎の屋上で複数の人影がもみ合っている。
よく見ればひとりは女の子で、ふたりの黒服の男に取り押さえられ、いまにも突き落とされそうな様子に見えた。
「あ! ああっ!? ちょっ!」
「うっさい。なにさわいでるのよ、女湯でものぞいちゃったとか? このエロ眼鏡!」
周章狼狽した天馬がスコープを手渡す。怪訝そうな顔でそれをのぞき込む鈴鹿。
「――ッ!」
即座に表情が引き締まり、いつも持ち歩いている一冊の本。単行本サイズのハードカバー、聖書を取り出し、素早く掲げた。
「式神作成! 急々如律令!」
掲げ持った聖書が光りを放ち、突風を受けたようにバタバタとページがめくれ上がった。さらにはページがちぎれ飛んで宙を泳ぎ、あたり一変を乱舞する。
ちぎれ飛んだ聖書のページは折れ曲がり、張りつき、重なり合い、次々と形を形成していく。猛禽を象った折り紙で作られたかのような式神があらわれた。
「飛べ!」
主を背に乗せ、号令を受けた式神は校舎へと飛び立つ。
「ああっ、まってよ鈴鹿ちゃん!」
「走って来い!」
純白の鷹に乗り、夜空を翔ける。直前までの光景があっという間に背後に遠ざかり、そう離れていない校舎の屋上まですぐにたどり着いた。
黒の背広に黒ネクタイ、黒の革靴を履き黒いソフト帽をかぶり黒レンズのサングラスを着用した、上から下まで黒ずくめの男がふたり、ひとりの少女を追いつめていた。
「その子からはなれろ変態野郎!」
宙に浮いての一喝。普通の相手ならばこれだけでかたがつく。
だが男たちはちがった。
「……」
ふところから取り出した小型の銃をむけ、引き金を引いた。
「んナッ!?」
だが射出されたのは弾丸ではなく一条の光。光線だった。
この黒ずくめの男はSF映画にでも出てくるようなレーザーガンを撃ってきたのだ。
とっさに防御用の呪符を掲げて光線をふせぐ。
「……なに、これ。呪術?」
鈴鹿は光線にこめられた五気の偏向、呪力の気配に気づいた。
(あのおもちゃみたいな光線銃ってば呪具なわけ? この黒づくめども、呪捜官? まさかね……)
鈴鹿の見鬼が黒づくめ男たちの霊気を視る。一般人となんら変わらない凡庸な霊力と気配。どこからどう見てもただの人――。
――否。
ちがう、常人ではない。
十二神将のひとりであり『神童』の異名を持つ彼女の見鬼は並の陰陽師のそれより深く見通し
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