シーホーク騒乱 5
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「敵将討ち取ったり! いまだ、攻撃しろ!」
「お、おおーッ!」
ひかえていた警備官たちがリビングアーマーたちにいっせいに反撃をはじめる。指揮官を失ったことで統率された動きも陣形を組むこともできなくなった鎧たちが次々に壊されていくなか、秋芳は奇妙な既視感をおぼえていた。
出神の術で闘気を込めた分身を作ると同時に自身は隠形し、敵の不意を突く。
この作戦は、以前にも使ったことがある。
場所は陰陽庁、相手は木暮禅次朗。
(なぜだ、なぜ俺は木暮さんと、十二神将を相手に戦ったんだ!?)
夢などではない。
これは記憶だ。
木暮だけではない。
鏡伶路、滋岳俊輔、山城隼人、弓削麻里、宮地磐夫、倉橋源司――十二神将の錚々たる面々と、自分は呪術戦をした。
だが、その前後が、なぜそのようなことに至ったのか、それからどうなったかが思い出せない。
(こっちでの生活にかまけていてすっかり失念していたが、俺はなんで向こうの、最近の記憶がないんだ。……ひょっとして、ここ、死後の世界とかじゃないよな? 俺は、生きているよな?)
鉄布衫功で防いだとはいえ先ほど受けた傷からは血が滲み、痛みを感じる。いまも内力を廻らし鎮痛と止血につとめているが、けして浅傷ではない。
この痛みは本物だ。
ここが死後の世界だとは思えない。
「すぐに手当ていたしますわ!」
駆けつけてきたウェンディが秋芳に【ライフ・アップ】をほどこす。
傷口はすぐにふさがり、痛みも遠のく。だが秋芳の険しい表情は変わらない。
「まだどこか痛みますの?」
「いや、だいじょうぶだ」
痛みは引いた。だがひどく消耗している。隠形にせよ出神の術にせよ、気をもちいる術を使えることは使えるが、やはり消費が大きい。そうそう連発はできそうになかった。
「……この槍も魔法の武器だな」
「まぁ、ちょっとうかがいますわね」
ウェンディが【ファンクション・アナライズ】で調べると、利刃や不壊――攻撃力の増加と破壊不能といった魔法の武器の基本性能にくわえ、白魔【ロード・エクスペリエンス】が永続付与されていた。
【ロード・エクスペリエンス】。物品に蓄積された思念や記憶情報を読み取り、持ち手に憑依させる魔術。
生前のゲオルグ将軍が愛用していた魔槍。これを手にした者はゲオルグ将軍とおなじ槍術と統率スキルを身につけることができるのだ。
「超レア物じゃございませんこと! これを装備すればわたくしも戦えますわ! ……ぐぬぬ〜、お、重いですわ〜」
「軽量化の符呪はされていないようだな。必要筋力がたりない、てやつだ。穂先から石突きまで、柄もふくめて総身鉄作り。こんなの俺でも重くてあつかえんわ」
「と、とにかく戦利品として確保ですわ」
リビ
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