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東京レイヴンズ 今昔夜話
夜虎、翔ける! 4
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「顔はやばいよ、ボディやんな、ボディを」

 周りの加害女子たちがはやし立てる。

「ちょ、ちょっと君たち、暴力はだめだよ、暴力は〜」

 おいついてきた中年男が制止するも加害女子たちの暴力はおとろえない。

「なに言ってんすかー、こういうのにはキツクしないとダメなんすよー」
「えー、でもちょっとひどくない?」
「●●さん、こういうのむしろ好きじゃない? ……なんならさぁ、キャットファイトしてあげよっか? もう一諭吉であたしらのエロいバトル見せてあげるよ」
「……いいねぇ、それじゃあお願いするよ」

 うす暗い地下室。使われていない什器倉庫に連れ込まれた平坂はそこで殴る蹴るの暴行を受けると同時に、あられもないポーズをとらされた。暴行はケガをするほどの力はくわえられなかったが、痛みと屈辱と恐怖は最大限に高まり、頭の中は真っ白になっていた。

「はい、平坂ダウン! 罰として脱がしま〜す」
「もう下着と靴下だけじゃん。あはは、なんかエロ〜い」
「最後はぼくに脱がせてよ」

 埃臭いマットレスの上に横たわった平坂の目から涙がこぼれ落ちる。
 もう死のう。
 あれだけ泣いたのにまだ涙なんて出るのだと、不思議に思うとともに生への執着が急速に薄れてゆく。
 舌を噛みちぎってほんとうに死ねるのかな、痛いのはいやだな、でもこんな薄汚いおやじに身体をまさぐられるくらいなら、死んだほうがましだし……。
 そんなことを考えながらぼんやりとながめた天井に、ひとりの少年の姿がある。
 ふわりふわりと、宙に浮かんでいる。

「え?」

 次の瞬間、みしり。と音を立てて少年の足が中年男の頭をふみつけていた。

「ぐぇぇっ!?」
「よっと」

 蛙が踏みつぶされたような声をあげて卒倒した中年男のとなりに華麗に着地した少年――齢は平坂と同じか少し上くらい。明るい髪色をして、あざやかな錦の眼帯を左目に巻いているのが印象的だ。

「入学パーティではしゃぐにしては度が過ぎてるぜ。おまえらそのくらいにしとけ。あんまりオイタが過ぎるとただじゃすまないぞ」
「な、なんだよテメェ!? いきなり出てきて邪魔するんじゃねぇ!」
「ほら、立てるか? あ〜あ、せっかくの新しい制服がしわくちゃだな。なんならこのおっさんからクリーニング代でももらうか」
「おい、こら、テメェ。シカトすんじゃねぇぞ。この眼鏡のナイト気取りか!」
「いいや、ナイトじゃなくてウィザードだぜ」
「はぁ? なんだそりゃ、わけわかんねー。おまえもこの眼鏡とおなじアキバ系かよ」
「いや、ウィザードじゃなくてそのものずばりインヤンマスターだな。あー、それに本庁は秋葉原にあるから、アキバ系っちゃアキバ系かもな」

 眼帯男子はつっかかってくる女子らを軽くあしらいつつ
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