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東京レイヴンズ 今昔夜話
夜虎、翔ける! 4
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人いた。ガスバーナーで身体を焼くというのは暴力団が好むリンチや拷問のやりくちだ。
 その三〇人くらいの群れの中から見覚えのあるスリッパの裏が進み出る。

「さっきはよくもやってくれたね」

 寺島が仲間をつれて復讐にお出ましになったのであった。

「あたしらはここいらじゃ泣く子も黙る『タチバナ国』のメンバーなんだよ。そのあたしらをコケにしたんだ、あんたらふたり全裸にひんむいて富士川で泳がせたあと、ガスバーナーで顔を焼いて歯をひっこ抜いてやる!」
「もうスクワットし終わったのか、ずいぶん早かったな」
「まぁね、あたしはテコンドーやってるから体力には自信あるんだよ、ほかのふたりは伸びちまったけどね」
「武道を習っているのにやることはヤクザ者のそれだな。礼節を重んじ、粗暴なおこないを慎むとか、そういうことをおまえのかよっている道場じゃ教えてくれないのかよ」
「うちの道場じゃ人を蹴倒す技しか教えてくれないし、あたしはそれでじゅうぶんさ」

 やりとりのあいだ、夜虎はかすかに身動きし、印を結んだ。数枚の札が地面に落ちる。そして平坂にそっと耳打ちする。

「結界を張ったから身動きするなよ。もうあいつらにはおまえのことは見えない」

 言われずともすでに足がすくんで身動きなどしたくともできない。恐怖に声も出ない状態だ。

「ヤッチマイナー!」

 寺島の号令一下、男たちが獰猛な声をあげて動き出した。
 ガスバーナーをもった浅黒い肌の男が夜虎の顔めがけて青白い炎を吹きつけようとした。
 ひょいとその炎をかわして、夜虎は指先でなにかを払う仕草をするとバーナーの炎がありえない角度に曲がった。青白い高熱の炎がバーナーをもつ男自身の顔に吹きつけられる。

「〜〜〜〜ッ!!?!ッ」

 髪が燃え上がり、声にならない悲鳴をあげて地面をころげまわる。そのあいだにも炎は拡大し、髪から襟首へ、背中へと燃えうつる。全面攻撃の出鼻をくじかれた男たち立ちすくみ、声をのんで惨状をながめるだけだ。

「爆ぜよ真紅の小人たち、急々如律令(オーダー)

 触媒に火行符を使う必要もない、火だるまになりかけの男を中心に熱風が渦巻き、発生した火気の調伏呪がまわりの連中を追尾して焼き焦がした。
 火に炙られた男たちは口々に悲鳴をあげて近くを流れる川に飛び込む。水遊びには時期早尚の川面にいくつもの白い柱をつくり、焼死をまぬがれようと必死で水にもぐる。ただこんどは溺死をまぬがれるために火傷に染みる泥水のなかを泣きながら泳がなければならなかったが、それくらいの運命は甘受するべきだろう。なにせ集団でひとをなぶり殺しにしようとした連中だ。
 そのあいだにも不思議なことが起きた。地面に落ちた札がぐんぐんと大きくふくれ上がり、夜虎そっくりに変化。簡易式による式
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