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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜 Another
第8話 「懐かしき重み」
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てと友人になりたいという気持ちはある。
だが今やっていることは今後起きるであろう事件で立ち回りするために土台作り。打算で彼女に会おうとしているのは否定できないだけに心苦しい気持ちを捨てきれない。
まあ……そもそも前の世界のような関係になれるとは限らないんだが。
俺の知っているあいつらとこの世界のあいつらは違う。姿や声は同じでも同じ存在というわけじゃない。ここでは流れる時間が違うんだ。そうなれば体験することも違ってくる。だから本質は同じでも俺の知るあいつらとは間違いなく違う部分が出てくるだろう。
俺は自分の意思でこの世界に来ること選んだ。
そして……自分の良いようにあいつらの人生に影響を与えようとしている。それは結局善意であっても俺の自己的な考えで偽善なのかもしれない。
なら俺は……この世界のあいつらと親しくなるべきじゃないのかもしれない。
親しくなればなるほど、きっと俺はこの世界のあいつらに前の世界のあいつらを重ねて見てしまう。想いが強まれば強まるほど、やろうとしていることを躊躇してしまうかもしれない。なら距離を保って自分がやること決めたことを為す方がいいのではないか……
「もう……ちょい」
運が良いのか悪いのか……何でこのタイミングで彼女を見つけてしまうのだろう。
視線の先に居るのは必死に手を伸ばして本を取ろうしている車イスの少女。短く切り揃えられた茶髪には髪飾りがあり……その姿は俺のよく知る昔の彼女と瓜二つだ。
あぁ……この世界に来てようやく気付いた。
昔からあいつらは俺にとって大切な人という枠の中に居ると思っていた。だが自分で思っていた以上にあいつらは俺にとって大切な存在だったんだ。だからこんなにも切なくて悲しくて……距離を保とうと思うことに葛藤を覚えるんだろう。
「あと少し……お、取れ――ぁ」
本が取れたことで気が緩んだのか、上体を必死に伸ばしていたはやてはバランスを崩してしまう。それによって車イスも傾いてしまい、このままでは彼女は床に打ち付けられてしまうだろう。
そう思った俺は気が付けばはやての元に駆け寄っていた。大人の身体のままこの世界に来ていたならば、もしくは魔法を使える状況だったならばはやてが投げ出されるよりも前に助けることが出来ただろう。だがフェイト達がすでにこの世界に来ている以上、下手に魔法を使えば今後支障が出る確率が高くなる。
そのため、俺は空中に投げ出されたはやてを助けることにした。
前の世界のはやてと視界に映るはやての体格に差はないように思える。だが俺の体格も今はそのはやてと同じくらい。つまり……魔法を使っていない状態では華麗に助けるのは不可能と言える。昔の習慣で鍛えてはいるが、さすがに同年代を軽々と持ち上げるほど鍛えてはいない。世間からの目もあるし……
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