奇策
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「14対0・・・終盤打ち疲れて残塁が多くなってしまったな」
スコアブックを見ながらデータ班の部員と反省点を上げているのUTX学園の主将、統堂英玲奈。
「ツバサァ、私のアイシング使ってない?」
「これあんじゅのだったの?道理で緩いと思ったわ」
「ツバサが小さすぎるんでしょ!?」
準決勝でヒット2本で抑える完璧なリレーを見せたツバサとあんじゅは肩肘のケアのためアイシングの準備をしていた。だが、その2人のやり取りを背に試合を見ようとしていた西村はプルプル震えていた。
「お前らアンダーシャツでウロウロすんな!!ユニフォームかウィンドブレーカーを着ろ!!」
高校野球では観客が球場にいる間はユニフォームを正装として着ていなければならないと規約がある。練習用ユニフォームももちろんダメだが、アンダーシャツでうろつくなんてもってのほかだ。
「英玲奈もデータは後でやれ!!今はアイシングをしてこい!!」
「はい、すみません」
アイシングはスポーツ選手に取って重要なダウンの1つだ。西村に怒鳴られた3人は渋々着替えができるロッカールームへと向かった。
「あいつホントうざいわぁ」
「ツバサ、監督はお前のことを気にして口うるさく言ってるんだぞ」
「そうね。もう少し怒らないといい人なんだけどなぁ」
呑気に会話をしながら控え室へとやって来た3人。彼女たちは準備されていたアイシングを付けると、ユニフォームを上から着てスタンドへと向かう。
『ただいまより全員女子高校野球選手権大会準決勝、音ノ木坂学院対秀光学園の試合に先立ちまして、両校のスターティングメンバー、並びにアンパイアを紹介いたします』
試合前に行われるスタメン発表。そのアナウンスが聞こえると、英玲奈は残念そうな表情を見せる。
「音ノ木坂のノックを見たかったんだが、間に合わなそうだな」
メンバー発表はシートノックを先攻チームが行っている際に行われる。シートノックは後攻から先攻へと移っていくため、もう終盤に差し掛かっていることがすぐにわかった。
『先攻の音ノ木坂学院』
先攻は音ノ木坂学院のため今シートノックをしているのは音ノ木坂学院。走れば少しは見れるかもしれないが、人が多いためケガのリスクを考えるとそんな気もしなくなる。
「1番はやっぱり高坂さんかな。ここまで来たら小泉さんで行けるところまで行くしかないんだろうし、変える意味はないわよね」
「園田さんがどうなっているか気になるけど、もう投げさせるのは無理よね」
ツバサとあんじゅは英玲奈ほどモチベーションは高くない。はっきり言って、エースが疲労して出てくるチームなど相手にならないのは目に見えていることなのだから。
だが、次に呼ばれた選手名を聞き、彼女たちの表情は一変した。
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