奇策
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女の出来が試合を左右しそうだ』」
準決勝の展望が書かれているニュースページ。それを読んでいくと、準決勝第二試合の展望も書かれていた。
「『準決勝第二試合は今大会初出場の音ノ木坂学院と3年ぶりの全国制覇を狙う秀光学園の対戦となった』」
「『秀光学園は3投手の継投で少ない点差で勝ち進んできており、試合運びに提供がある。打線はホームランはないもののノーヒットで稼いだ得点が三度と試合巧者ぶりを発揮している』」
経験値の高さで勝ち進んできた対戦相手。そのあとに書かれている文に、彼女たちは目を凝らす。
「『対する音ノ木坂学院は初出場とは思えない強さを見せつけている。エースの小泉は2試合を完投し3回戦でも6回をわずか1失点』」
「『打線も高坂、星空は出塁率が高く、長打力のある西木野、絢瀬、東條がそれを返す。5番に入る矢澤は小技に勝負強い打撃と得点圏打率も高く、園田、南、小泉の下位打線も安定している』」
「『創部4ヶ月での4強進出、以前は音楽学校だったこと、少子化による廃校を阻止するために立ち上がった少女たちと話題は尽きない。今大会のダークホースとしてもっとも高い注目を浴びている』だって!!」
これまでの大会までよりも集客率が高くスタンドを埋めているのは彼女たちの存在が大きい。それを聞いていた希が、さらにある言葉を続ける。
「ある高校野球掲示板にはね、うちらのことこう呼んでたんよ。
9人の音の女神、『μ's』って」
「μ's?石鹸?」
「違います」
以前音楽学校だったこと、『音』ノ木坂学院を救うために創設したこと、ここまで試合に出ている人数が9人であること、そのことから神話に出てくる女神の名を取り、そう呼ばれているのだ。
「いい名前ね」
「それだけ期待されちゃってるんだ!!私たち」
A-RISEと同じように二つ名をつけられたことで俄然やる気が湧いてきた選手たち。彼女たちが盛り上がっていると、グラウンドから快音が響き渡り、観客たちは興奮し立ち上がった。
「A-RISEを擁するUTX・・・あいつらを倒せるのは、もはやお前たちしかいないな」
初回ノーアウトですでに4対0となっている準決勝第一試合。グラウンドを見つめていた選手たちの元に、剛がゆっくりとした足取りで現れる。
「まずは今日の試合だ。全員、普段とは違う役割になるが、頼むぞ」
「「「「「はい!!」」」」」
緊張感よりもワクワク感の強い少女たちに、難しい言葉をかける必要はない。何も言わずとも自然と少女たちはモチベーションが上がっていった。しかし、その中で1人だけ、白い顔でイマイチテンションが上がっていない者もいた。
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