暁 〜小説投稿サイト〜
いろいろ短編集
アナタと寄り添うミライ
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すぐ昼休み終わっちゃう! お姉ちゃんまたね!」
「ええ、また」

 ルビィと花丸さんが私を横切って去っていく。
 私は振りかえって、小さくなっていく花丸さんの背中を視線で追った。

「花丸さん……」

 誰にも聞こえないほどの小さな声で、私はポツリと呟いた。
 彼女の名を口にすると、胸がキュッと締めつけられる。
 締めつけられた胸は、苦しく、そして痛い。
 だけど不思議と、幸福感が混じっているのだった。




 それから時間が過ぎゆくのは早かった。
 紅葉が色づき、そして枯れ落ち、肌寒い季節がやって来た。
 身を震わす寒さのなか、花丸さんのことを考えると心がポカポカ温かくなる。
 痛くて苦しい。だけど温かい幸福感がある。
 そんな矛盾を孕んだ感情を、私は未だに抱え続けていた。

「はぁ……」

 机に頬杖をついて、窓の外を見ながらため息をつく。
 以前廊下で花丸さんと出会って以来、彼女の姿を見ていない。
 それだけ……たったそれだけで、私の心には大きな穴が空いたような気分だ。
 あれから何ヶ月と経っているのに、花丸さんと合えないことが私を悩ませていた。
 花丸さんに会いたい、会ってもう一度話をしたい。そう思うのは欲張りだろうか。
 ならいっそのこと話はできなくてもいい。ただ同じ空間で、同じ時間を花丸さん過ごしたい。

「はぁ……」

 また無意識にため息が出る。
 教室の中だというのに、吐く息が少し白くなったような気がした。
 花丸さんも今ごろ、教室で寒さに身を震わせているのだろうか。
 ……だめだ。なにをしても花丸さんのことを考えてしまう。
 私はいったいどうなってしまったのだろう。

「はぁ……」

 また自然とため息が出る。
 ため息をした数だけ幸せが逃げるとはよく言うけれど、本当なのだろうか。
 花丸さんのことを考えると幸せで満たされる。だけどその幸せも、ため息の数だけ逃げていってしまうのだろうか。
 花丸さんと会えなくて、私はため息の数が増えた。
 この胸にある小さな幸せも、ため息をするたびに少しずつ消えて、やがては無くなってしまうのかもしれない。
 そう考えると途端に寒気が押し寄せてきて、ぶるっと身を震えた。
 ほんの少しの幸せが逃げないように、私は震えた身体を自らの手で抱きしめた。

 そうやって悪寒に身を震わせていると、そんな私のもとに近づいてくる人たちがいた。
 同じクラスの鞠莉さんと果南さんだ。

「どうしたのダイヤ? 元気ないわね?」

 鞠莉さんにそう問われるほど、傍から見た私は元気がないのだろう。
 実際のところ自分でも、元気がないのは分かっている。

「何か悩みごと? 相談乗るよ?」

 果南さんが相談に乗ると言
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