アナタと寄り添うミライ
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は彼女になんてことをしてしまったのだろう。
生徒会長と肩書がなくなった私は、ひとり昼休みの廊下を歩いていた。
職員室で先生と少し話をして、教室に戻っている途中だった。
歩きながら考えるのは、花丸さんのこと。
今なにをしているのだろう。私のことをどう思っているのだろう。
あんなことをしたのだ、きっと嫌われているに違いない。
そんなマイナス思考に陥っていても、思い出すのはあの時の感触。
私はそっと手を唇にやった。
柔らかいその感触を思い出して、罪悪感が降って湧いてくる。
あの日の自分を殴ってやりたい気分だ。
そんなことを思いながら廊下を歩いていると、前から二人組の生徒が歩いてくるのが見えた。そのどちらも私の知ってる人。
その中には、花丸さんの存在もある。
「あ、お姉ちゃん!」
私に気づいた妹のルビィが、嬉しそうにこちらにやって来る。
花丸さんはというと、ルビィの後ろに控えめに立っていた。
「あらルビィ、花丸さんも。ごきげんよう」
「こんにちはずら」
一応、挨拶は交わしてくれるみたいだ。
だけど花丸さんは依然とルビィの後ろにいて、表情は少しばかり陰っている。
「あのねお姉ちゃん聞いて! 今日の英語の授業でね――」
ルビィが楽しげに今日あった出来事を話している。
そんな妹の話は、あまり耳に入ってこなかった。
そうしても、ルビィの後ろにいる花丸さんの存在が気になってしょうがないのだ。
あの時のことをもう一度謝りたい。そして、できるならもう一度同じ時間を過ごしたい。
だけどルビィの前でそのことを切り出すのは、私にとってとても勇気のいることだった。
「ねえお姉ちゃん、ちゃんと聞いてる!?」
「安心なさい、聞いてますわよ」
「よかった……それでね! そのあと――」
ルビィには申し訳ないが、私は二つ返事で嘘をついた。
視線はどうしても、花丸さんに向いてしまう。
すると、花丸さんとバッチリ目が合ってしまった。
驚いたように目を大きくする花丸さん。そして、次の瞬間には気まずそうに目を逸らされた。
ああ……やっぱり、私のことが嫌いになってしまったのか。
あれだけのことをしたのだ、嫌われて当然だ。
キュッと、胸が締めつけられる。
どうしてだろう、気持ちがモヤモヤする。
花丸さんを見ているとドキドキする。こんな感情、生まれて初めてだ。
初めてだから、私はこの感情の正体を掴めなかった。
キラキラして、ドキドキする。
私にわかるのはたったそれだけ。
名前の知らない感情は、少しずつ膨らんで大きくなっていく。
やがて胸いっぱいに満たされると、得体の知れない感情ではち切れそうになる。
「あ、もう
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