アナタと寄り添うミライ
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から、当然上の棚にまで手が届くはずがない。そのことをすっかり失念していた。
これからの仕事を割り振り直して、私たちは雑務を再開する。
花丸さんは膝を折って屈み込み、下の方の棚の整理を。
私はぐっと爪先立ちになって、上の方の棚の整理を。
しっかりと役割分担をしてからの仕事は、それまで以上に捗った。
気がつけばすっかり太陽は傾いており、夕日が私たちを染め上げる。オレンジ色を合図に、私は今日も仕事を切り上げることにした。
「花丸さん、今日もありがとうございました」
「いえいえ。また明日も手伝いに来ますね」
「分かりましたわ」
また明日も来るという花丸さんを、私はなんの躊躇いもなく受け入れた。
断ってもどうせ来ると言って聞かないのは昨日の時点で分かったし、何より花丸さんの仕事ぶりは大変頼りになる。
また明日も存分に花丸さんを頼ることにしよう。
「そういえばダイヤさん、もうすぐ生徒会の任期が終わりずらね」
それから一週間が経ったある日、花丸さんは思い出したようにそう呟いた。
「ええ、そうですわね」
花丸さんの言う通り、私の生徒会長の任期はあと一週間ほどで終わりを迎える。私から生徒会長という肩書きが外れるのだ。
「なんだか寂しいずら。あと少しでダイヤさんのお手伝いできなくなっちゃうの」
その言葉を花丸さんはどういった意味で言ったのか、私にはわからないし、聞く勇気すらなかった。
この一週間、花丸さんはずっと生徒会室にやって来ては、私の仕事を手伝ってくれた。
花丸さんの仕事ぶりは本当に大したもので、山のように積み上がっていた雑務がこの一週間で半分ほど片付いた。
この調子で進めれば退任までに全ての仕事を片付けられるだろう。これも全て花丸さんのおかげだ。
「そうですわね。私も少し寂しいですわ」
きっと花丸さんがいなければ、仕事は今の半分しか片付いていないだろう。
単純に二倍、一人よりも二人でやった方が捗るのは事実で、最初は手伝わせることに後ろめたさがあったけれど、今は花丸さんがいてくれて助かっている。
彼女の仕事ぶりは大したもので、効率よくテキパキと雑務をこなしている。
まるで以前からこうして二人で生徒会の仕事をしていたような感覚が芽生えてくるが、それはここ最近はほとんど花丸さんが手伝ってくれている故の錯覚だろう。
今思えば、私はこのときには既に花丸さんに好意を抱いていたのだろう。
ライクではなく、ラブのほう。
「あっ」
花丸さんが声をあげる。見ると、手に抱えていた書類が床に散らばっていた。どうやら落としてしまったらしい。
「手伝いますわ」
腰を下ろして書類を拾う花丸さん。そのすぐ前に私も屈んで、一
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