アナタと寄り添うミライ
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思わずそう問いかける。
嫌じゃなかったなら、逃げ出した理由がよく分からなかった。
それに対して花丸さんは、
「それは……その、恥ずかしくて……」
なんだ……恥ずかしかっただけなのか。
そうだと知っていたなら、今日まであれほど悩まなくて済んだのに。
じゃあ廊下で会ったあの時も、顔を合わせてくれなかったのは、ただ単に恥ずかしかっただけなのだろうか。
そう思った途端、目の前の花丸さんが愛おしくて仕方がなかった。
「あの……ダイヤさん」
「は、はい」
「もう一回、してもらえますか? ……キス」
「はい?」
耳を疑う。
花丸さんを見ると、今まで以上に顔が赤くなっていた。
「あ、今のやっぱり無かっ――――んっ……」
花丸さんが何か言いかけたが、私はその言葉を待たずに彼女の唇を塞いだ。
キスしてほしいと言われて、私にももう一度キスしたいという気持ちが強く湧きあがった。
だから考えるよりも先に、行動に移してしまった。
「んっ……ふぅっ……んんっ……」
長いキス。
半年前の触れるだけのキスとは違って、たっぷりと花丸さんを味わう。
疎遠になっていた時間を取り戻すかのように、私たちは長い時間をかけてキスをする。
「……んっ……ぷはぁっ、はぁ……ダイヤさん……」
「花丸さん……」
花丸さんと見つめ合う。
すると自然と、その言葉が口から出てきた。
「好きです」
その言葉は自分でも驚くほど、ストンと胸の中に落ちてきた。
私はずっと、花丸さんが好きだったんだ。
以前、鞠莉さんと果南さんに言われたときは否定した。
だけど私はあのときにはもう、花丸さんに恋をしていたのだ。
ただ自覚がなかっただけ。その感情を知らなかっただけ。
「私も……ダイヤさんが好きです」
花丸さんからの言葉。
それだけで、涙が溢れ出そうになる。
今まで胸の中にあった痛みや苦しみが消え去って、喜びと幸せで満たされている。
花丸さんのことを考えて胸がキュッと締めつけられたとき、あのとき存在していた僅かな幸福感の正体は、恋だったのだ。
恋が実って、幸せで満たされる。
この瞬間、私は世界で一番の幸せ者だろう。
いや違う。
花丸さんも私と同じだけ、幸せを感じているに違いない。
「花丸さん」
「ダイヤさん」
目と目が合う。
顔が近づいていく。
これから私は、幸せになるのだろう。
その隣には、花丸さんがいる。
互いの幸せを分かち合い、ともに幸せになっていく。
そんな誓いの意味を込めて、私たちはキスをした。
これからも、彼女と一緒に歩んでゆく。
私たちに待っている未来を、いつまでも、永遠に
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