アナタと寄り添うミライ
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Aqoursで取り決めた生徒会を手伝うという取り決めがあったにしても、練習に忙しくてそんな余裕がなかったものだから、彼女が来たのは意外だった。
私はきっと目を丸くして、生徒会室の扉を開けて立つ彼女を見つめていたことだろう。
「だってダイヤさん、生徒会大変そうだから。マルにもなにか手伝わせてほしいずら」
笑顔を見せる花丸さん。
そこには邪な考えなどなく、ただ単純に私を手伝ってくれる思いが伝わってきた。
「いいのですか? 生徒会の手伝いをするより、なにか他のことをしていた方が有意義だと思いますわよ?」
「ううん。マルはダイヤさんのお手伝いがしたいずら」
最初は遠慮したが、そう言われると私はもう何も言い返せなった。
ひとりで抱えていた雑務をいくつか、私は花丸さんに割り振った。正直猫の手も借りたい仕事量だったので、花丸さんが手伝うと言ってくれたのはありがたかった。今は花丸さんに存分に甘えるとしよう。
それから私と花丸さんは、会話もそこそこに雑務をこなしていった。あった会話といっても、花丸さんからの仕事に関する質問がほとんどだから、私たちの間に会話は無かったに等しいだろう。
互いにただ黙々と雑務をこなしていくだけ。それだけで時間はあっという間に過ぎ去っていく。
気がつけば高かった太陽はすっかり傾いていて、淡いオレンジ色が窓から差し込んでいた。
そのことに先に気がついたのは私だった。花丸さんはまだ黙々と懸命に雑務をこなしている。
彼女をこんな時間まで手伝わせたことに若干申し訳なさを感じる。私はたった今時間に気がついたフリをした。
「あら、もうこんな時間ですわ。今日はもう終わりにしましょうか」
「あ、本当ずら。でもまだ仕事が……」
「それはまた明日、私がやりますわ」
私ひとりでやると、そう言ったつもりだった。
だけど花丸さんはそうは捉えなかったらしい。花丸さんはにっこりと天使のように微笑んで、
「わかりました。また明日も手伝うずら」
ごく当たり前のことのように、ケロッとそう言ってのけた。
このときの私は、きっと目を丸くしていただろう。まさか花丸さんが明日も手伝ってくれるとは、思ってもみなかった。
「いや、花丸さん? なにも明日も手伝えと言ってるわけではありませんのよ? 花丸さんにもなにか予定があるでしょうし……」
「予定ならあるずら」
あるのに手伝うと言っているのか。思わず呆れかえってしまう。
だけど次の瞬間、花丸さんは平然とそう言ってのけるのだ。
「ダイヤさんのお手伝い。それがマルの予定ずら」
満面の笑顔。邪心などを一切捨てた屈託のない笑み。
花丸さんは本気で私のことを手伝うと言っているのだろう。
「いえ、それは悪いですわ
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