恋色シャイニー
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とか出来るから授業はかろうじて理解できるものの、話すほうが壊滅的にダメだった。
やがて僕はクラスメイトとの会話を放棄するようになり、僕はクラスで浮いた存在になっていた。
そんな状態にも慣れてきた、夏休みが終わってすぐの出来事だった。
マリが留学生としてやって来たのは。
「こんにちは」
放課後、クラスメイトに囲まれて質問を受けていたマリが解放され、一人になった。
僕は勇気を振り絞って、マリに話しかけてみたのだ。
「こんにちは。アナタ日本人?」
「うん。高校からこっちに住むことになって」
「それは大変ね! 英語は喋れるの?」
「もう全然ダメ。おかげでクラスではいつも一人。だから、オハラさんが来てくれて少し嬉しいんだ」
「私も、アナタみたいな日本人がいて少しホッとしたわ。あ、私のことはマリーって呼んで」
「わかった。じゃあ……マリー」
「Good!」
それが、僕とマリーの最初に交わした会話。
それから僕とマリーは友達になった。
昼食を一緒に食べるようになって。
放課後には一緒に遊ぶこともあって。
好きなアーティストのCDの貸し借りをして。
いつもクラスで一人だった僕にとって、マリーは学校で唯一の話し相手だった。
何もすることがなく、ただ来ているだけの学校が、マリーがいることで少しずつ楽しくなってきたのだ。
モノクロだった僕の日常が、鮮やかに色づき始めた。
「マリーって僕の他にも友達多いけど、どうして僕と一緒にいることが多いの? もしかして同情してる?」
中庭のベンチに座って一緒に弁当を食べているとき、僕は以前から気になっていたことをマリーに聞いてみた。
「同情なんてしてないわよ。確かに私は他の人とも仲良いわよ?」
「なら、どうして」
クラスで浮いている僕と一緒にいることは、マリーにとってメリットがひとつもない。
もし憐れみや同情の気持ちで僕と一緒にいるのなら、それはマリーに悪いことをしているような気がしたのだ。
だけどマリーは、同情なんてしていないと言う。
そう話すマリーの表情は、ごく自然なものだった。
「だって英語で話すのって疲れるんだもの。日本語で会話できるアナタといるときが、一番気楽で落ち着くのよ」
マリーは笑う。
まるで天使のような笑みだった。
僕と一緒にいると気楽で落ち着く。
英語で話すのが疲れるというのは理解できるので、マリーの話した理由に僕は大いに納得してしまった。
「僕も、マリーといる時が一番落ち着く、かな」
「そりゃあアナタ、私以外に話し相手いないものね!」
「それは…
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