花咲く果実
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スクールアイドル、μ’s。
その人は、アイドルになっていた。
みんなに笑顔を振り撒き、みんなに元気を与える偶像。
それでも、彼女の笑顔は以前より眩い光を放っていて。
そのあまりの眩しさに、俺は目を逸らしてしまった。
――アイドルなんて、嫌いだ。
俺にはその姿が眩し過ぎて、目を開ける事すら出来ないから。
つい先ほど彼女に向けて放ったその言葉に、彼女は悲しそうな表情になる。
違う。俺が見たいのは、そんな悲しい顔じゃない。
本当は分かっていた。
この感情が、ただの嫉妬だという事を。
以前は、そのあまりの眩しさに目を逸らしてしまった。
今日もまた、一度は逸らしてしまった。
でも、今度こそ逸らさない。
「今気づいたの。穂乃果は高槻君のこと……ずっと前から好きだったんだって」
後ろを振り向き、彼女を直視する。
これがきっと、俺が彼女に――高坂穂乃果に近づけるラストチャンス。
「俺も……高坂のこと、ずっと好きだった」
あぁ、やっと言えた。
***
「えっ……?」
高槻君は、胸の奥から絞り出すように言葉を紡いだ。
その言葉を聞いて、胸の奥に熱い何かが流れ込んでくる。
「高槻君、今なんて……」
もしかしたら、私の聞き間違いかもしれない。
そう思って私は再度、高槻君の言葉を聞こうとした。
「だから……俺もずっと好きだったんだよ、高坂のことが」
その言葉を聞いて、私はホッと胸を撫で下ろす。
良かった、私の聞き間違いじゃ無かったんだ。
「えへへ、高槻君も穂乃果と同じだったんだね」
「……そうだよ、悪いかよ」
バツが悪そうに……いや、恥ずかしそうに高槻君はポツリと漏らした。
今なら分かる。
さっきまでの意地悪な態度は、恥ずかしかったからなんだと。
愛情の裏返し。
好きの反対は無関心だって、どこかで聞いた事がある。
「ううん……穂乃果、嬉しいなぁ……」
「お、おい、泣くなよ高坂」
「えっ……?」
高槻君がオロオロと慌てて、私に指摘する。
言われて初めて、私は涙が頬を伝っている事に気が付いた。
「あはは、おかしいなぁ……穂乃果、何で泣いてるんだろう……」
止めようと思っても、一度堰を切った涙は止めどなく溢れ出てくる。
「ちょっ高坂、さっきは嫌な事言って悪かった。だから泣くなって」
温もりのある優し
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