花咲く果実
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。
私は何とか彼に興味を持ってもらおうと、一つの提案をした。
「そうなんだ……あっ、じゃあ見る?」
「見るって、何を?」
「スクールアイドルの穂乃果! 映像があるんだ!」
「……いや、いい」
当然食いついてくると思っていた私は、断るという高槻君の反応に驚いた。
「えぇー! 何でなのー!?」
だから私は、その理由を聞き出そうとした。
すると高槻君は――
「アイドル、興味ないし」
本当に興味が無いと感じさせる冷たい口調でそう言った。
でも、実際に見たら興味を持ってもらえるだろう。
だからつい、子供のような駄々をこねてしまう。
「何でなのー! 穂乃果が歌って踊ってるところ見てよー!」
「いや、だから……ったく、分かったよ。見ればいいんだろ、見れば」
「本当っ! 見てくれるの、やったー! じゃあじゃあ、二階の穂乃果の部屋で待ってて! 穂乃果もお店を閉めたらすぐに行くから!」
「あ、あぁ。でもその前に、これ会計してくれると助かる」
「あっ……ゴメンね、今するから!」
言われて私は、高槻君がカウンターに置いていた商品の会計がまだだった事に気付いた。
急いで会計を済ませると、私は高槻君を自室に案内した。
それから店の前に閉店の看板を出して、私は高槻君の待つ自室に向かった。
***
部屋に戻った私はパソコンを開き、高槻君と並んでμ’sの動画を見た。
動画を見てる途中、私は何度も横目で高槻君の表情を伺った。
μ’sの動画を見る高槻君は、よく分からなかった。
楽しそうに見ている訳ではなく、かと言ってつまらなそうという訳でもない。
ただ普通に、動画を見ているように感じた。
「ねぇ、穂乃果どうだった!?」
「……さぁ、俺にはよく分からなかった」
「むぅ……なんかこう、可愛かったとかさ!」
薄い反応をする高槻君に、私はムッと頬を膨らませた。
すると高槻君は、一際鋭い目つきで私を見てきた。
その視線が何だか怖くて、私は少し気圧されてしまう。
「なに、高坂。俺に可愛いって思われたいの?」
「……」
意地悪な質問。
私はそれに何と答えればいいのか分からず、言葉に詰まった。
「……可愛くないね」
あまりにも容赦無く、高槻君は私に向けてハッキリとそう言った。
「っ! ちょっと酷いよ高槻君! 穂乃果の目の前で言わなくてもいいじゃん!」
「じゃあ陰口ならいいの?」
「そ、そういう事じゃなくて……とにかくダメなの!」
さっきまで楽しかった会話が一転、喧嘩になってしまう。
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