松実姉妹と過ごす平凡な一日
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声じゃない。
聞こえたのは目の前、ベッドの上から。
布団を捲り上げ、そこにいたのは――
「お、お兄ちゃん……お姉ちゃん」
――玄だった。
「……何してるんだ、玄」
「く、玄ちゃん……?」
俺と宥に問いただされ、ベッドの上の玄は慌てたように弁明を始める。
「お、お兄ちゃんを驚かせようと思って、ベッドに忍び込んでいたのです!」
「いや、確かに驚いたけど……」
俺の驚いたという言葉を聞いて、玄はしたり顔を浮かべた。ドヤァ。
「それで、お姉ちゃんはどうしてお兄ちゃんの部屋にいるのです? それも枕を持って」
「えっとね。寒くて眠れないから、お兄ちゃんと一緒に寝ようと思ったの」
なんで正直に答える!?
そんな事言ったら玄は――
「そうなんだ! じゃあ私も一緒に寝てあげるよ、お姉ちゃん!」
ああ、やっぱり。こうなると思った。
「玄ちゃんも一緒だと、もっとあったかくなるねー」
布団の中にいたのが玄で、宥はホッと安堵の息を吐いてベッドに入っていく。
「お兄ちゃん……寝よ?」
「お、おう」
宥に言われるがまま、俺はベッドに入っていく。まさか自分のベッドに入るのに、こんなに緊張する事になるとは思ってもみなかった。
玄が奥、宥が手前のスペースに寝転がっていて、真ん中にポッカリと一人分のスペースが空いている。
なんか、さっき風呂場で見た光景だ。
いつまでも立ったままでいるわけにもいかないので、覚悟を決めてベッドに入り、仰向けになって寝転がる。
「えへへ、お兄ちゃーん」
左にいる玄が、嬉しそうに俺の左腕に自身の両腕を絡めてくる。
「お兄ちゃん……あったかい」
反対側にいる宥も、玄と同じように両腕を俺の右腕に絡める。
「お、おい二人とも……」
「おやすみです、お兄ちゃん」
「あったかい……おやすみ、お兄ちゃん」
玄と宥はそう言って目を閉じた。すると次の瞬間には左右から小さな寝息が聞こえた。
……寝るの早すぎるだろ。
両腕を二人にがっちりと掴まれ、動こうにも動けない。下手に動かしてしまうと二人を起こしてしまう。
それにさっきから、やたらと良い匂いが左右から漂っている。
少し柑橘系の香りのする、柔らかい匂い。
……って、これじゃあまるで変態みたいじゃないか。違うからな、玄と宥が可愛いのがいけないんだ。
そんな可愛い姉妹にサンドイッチされて、さっきから心臓がバクバク言っている。
最初は宥が寒くて眠れないと言うから一緒に寝てあげようとしたんだ。するとベッドに何故か玄が侵入していて。
本当……どうしてこうなった。
玄と宥にサンドイッチされて嬉しい気持
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