暁 〜小説投稿サイト〜
国木田花丸と幼馴染
自己ベストずら
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
が合った。




「榎本くん……! これからも……が、がんばルビィ!」



「おう! がんばルビィ!」




 ルビィの思いっきり笑った顔はとても優しげで、俺はその言葉通りこれからも頑張ろうと思えた。




***




 それからマルとルビィと、帰りは三人一緒に帰ろうという話になった。まだ帰りのバスまで時間があることを確認した俺は、マルとルビィに待っていてもらうことをお願いして、再び水泳場の入口をくぐった。

 二人には忘れ物をしたと言って待ってもらっているのだが、それは嘘である。なぜそんな嘘をついて再び水泳場にやって来たのかというと。

 自動ドアの入口を通って左に曲がってすぐのところに、その人がいることに気づいたからだった。


「お疲れっす」

「お疲れ。いいの、彼女を待たせて?」

「彼女じゃないっすよ。茶髪の子が俺の幼馴染で、赤髪の子が友達っす」

「へぇ、彼女じゃないんだ。あんなに仲よさそうだったのに」

「そうでした?」

「うん。陽輝、赤髪の可愛い子の頭撫でてたじゃん」

「ちょっ曜さん、そこ見てたんすか!? うわー恥ずかし……」

「えへへ……たまたま見えちゃったから」


 ペロッと少しだけ舌を見せて曜さんは悪びれたように振る舞う。その仕草がやけに似合っているもんだから、俺はそれ以上なにも言い返そうとは考えなかった。

 マルとルビィと話をしているとき、入口の向こうにチラリと曜さんの姿が見えたのだ。それから曜さんは入口から出てこなかったので、きっとまだ中にいるのだろうと思って俺はやって来たのだった。


「曜さん、優勝おめでとうございます」


 今日は俺が出場した競泳と並行して、高飛び込みの大会も行われていた。そこで曜さんは見事優勝、全国大会へと駒を進めたのだ。


「ありがと。陽輝は……残念だったね」

「俺はいいっすよ。才能ないですし、水泳は趣味みたいなもんですから。大会は記念っすよ、記念」


 その言葉は曜さんに向けてではなく、まるで自分に言い聞かせるように思えて仕方がなかった。負けた言い訳をしているようで、あまり気持ちのいいものではなかった。



「そうかな?」


「……え?」



 だけど曜さんは、そんな俺を否定した。



「私は、陽輝に才能がないとは思わないけど」

「でも俺、予選落ちですよ?」


 そんな曜さんの言葉を俺は否定する。まるで嘘で慰められているような気がして、自分がひどくみじめだ。


「陽輝」

「はい」

「ちょっと後ろ向いて?」

「何でですか……」

「いいから」


 真剣な口調に真っ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ