がんばルビィ!
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
よな、この先生。
「あのっ! アタシも行きます!」
「うむ、わかった」
こうして俺たちは保健室へ行くことになった。
***
保健室で軽く手当を受け終わると、その様子を見守っていたサヤカが、俺に一言謝って帰っていこうとした。
「黒澤にもちゃんと謝れよ」
サヤカの背中にそう言うと、サヤカは俺に背中を向けたまま小さく首を縦に振り、保健室から去っていった。
「榎本くん。怪我は少し腫れてるぐらいだけど、一応親御さんに連絡入れておくわね」
「あ、はい」
「それじゃあ、私は少し席を外すから。あ、まだ帰っちゃダメよ?」
「わかってます」
まだ若い養護教諭の女性は、ニッコリと柔和な笑みを浮かべてそう言うと席を外した。
頭の打った場所を手でさすってみるが、なんの問題もない。少しチクリと痛む程度で、大した怪我ではなさそうだ。
――コンコン。
保健室のドアがノックされる。先生に用事だろうか。そう思いながらドアを見ていると、ドアは小さく、申し訳なさそうに少しだけ開かれた。
「し、失礼します……」
中に入ってきたその人物は――。
「黒澤!? お前、マルの家に行けっていっただろ!」
「ピギィ!?」
「あ、ごめん……」
つい大声を出して黒澤を怖がらせてしまった。一言謝ると、黒澤はおずおずと俺に近づいてきた。
「あ、あの……ルビィ、あれからずっと見てて……それで、榎本くんが倒れたから、近くにいた先生呼んで……」
……そっか。あのとき、どうして先生が校舎裏に来たのかと疑問に思ったが、黒澤が助けを呼んでくれたのか。
「そっか……ありがとな、黒澤」
「うん……」
会話が続かない。だけど、この沈黙も嫌いじゃない。黒澤は会話が苦手な女の子だから、それを受け入れた上で話を聞いてあげたいと思わせる。黒澤にはそんな不思議な魅力がある。
「あ、あのっ! ルビィねっ!」
黒澤が突如、決意したように話し始めた。俺は一生懸命に伝えようと努力する彼女の言葉を、黙って最後まで聞き届ける。
「榎本くんが友達だって言ってくれて嬉しかった! でも、今のままじゃ、また榎本くんに迷惑かけるかもしれないから……だからねっ!」
黒澤は、満面の笑みを浮かべて。
「ルビィ、もっとちゃんとできるように頑張る! ちゃんとお話しできるように頑張って、ずっと榎本くんと友達でいられるように頑張る! だから、だから……!」
――これからもルビィと、友達でいてください。
「こちらこそ。こんな俺でよければ、こ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ