がんばルビィ!
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根暗な奴なの!」
「サヤカ……」
「アタシ、ハルのこと――好きなのよ!」
サヤカからの告白。その気持ちに俺は気がついていた。去年同じクラスだったときもよく話しかけてくれたし、修学旅行の班決めのときも真っ先に俺に声をかけてきた。
「……サヤカの気持ちは嬉しい。ありがとう」
「ハル……! じゃあ――」
「だけど、俺の友達に影でコソコソと悪いことをするサヤカは、俺は嫌いだ」
黒澤を校舎裏まで連れてきて、ちょっかいを出すような女の子のことを、好きになれるはずがない。
俺の答えを聞いて、サヤカは先ほどよりも深く下を向いた。その身体が震えているのは怒りだろうか、それとも悲しみだろうか。いずれにせよ、サヤカに気の利いた言葉をかけるつもりはない。
「……でよ」
「サヤカ……?」
「なんでアタシじゃなくて、あんな根暗女がいいのよ! ハルなんか……ハルなんか……!」
「お、おいサヤカ!」
サヤカは近くに置かれていた花の鉢植えを手に持った。これは危険だと思ったのも束の間、サヤカはそれを俺に向かって振りかぶった。
「やめろサヤカ! 危ないから!」
咄嗟にサヤカの腕を掴んで、鉢植えが振り下ろされるのを防ぐ。だけど掴まれたことにより、サヤカは激しく暴れ出した。
「うるさい! ハルに嫌われたんだから、こうするしかないじゃない!」
「他にもあるだろ! とにかく鉢植えを離せ!」
「嫌よ! ハルの方こそ話して! きゃっ!」
「危ないサヤカ!」
サヤカが足を滑らせてバランスを崩した。そのまま頭から地面に倒れそうになる。俺は咄嗟にサヤカと身体の位置を入れ替えた。その勢いで、今度は俺が頭から地面に落ちていく。
ゴツンと鈍い音がした。
「痛っ……!」
頭を地面に強く打ちつけて、ジンジンと痛みが広がっていく。
「ハル……ハル! 大丈夫? ごめんねアタシのせいで……」
「大丈夫……痛っ」
「ハル、ごめん……ハル……っ!」
サヤカの瞳から涙が堰を切ったように溢れ出す。これで自分のしたことが間違っていたと思ってくれるのなら、それに越したことはない。
「おい、そこでなにをしている!」
突如、校舎裏に野太い声が響いた。見ると、ガタイのいい男の体育教師が険しい表情で俺たちを見ていた。
「榎本、頭を打ったのか!? まずいな、すぐに保健室に行くぞ!」
「大丈夫ですって、そんな大げさな」
「つべこべ言わず来い!」
「はい」
体育教師の有無を言わせぬ剣幕に、俺はそう言うしかなかった。ガタイがいいから怖いんだ
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