がんばルビィ!
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「お前ら、なにしてんの……?」
榎本くんの、声。
***
黒澤を見つけようと学校中を探しまわった。そしてようやく黒澤を見つけたのは、人気のない校舎裏。薄暗くてジメジメしたそこには黒澤の他にもう一人、クラスメイトの女子――サヤカがいた。
「ハル!? なんでここに……って、これは違うの!」
「なにが違うって言うんだ」
「そ、それは……」
状況は見るからに明らかだった。地面に膝をついて下を向く黒澤。その奥で必死に取り繕うサヤカ。誰がどう見たってこれは……。
「え、榎本くん」
俺を呼ぶ黒澤の声。それは今にも消えてきまいそうなほど小さく、そして震えていた。
「ルビィのこと、ウザいって思ってるの……?」
「……サヤカがそう言ったのか?」
「ルビィといると、迷惑……?」
答えになっていない。黒澤はちゃんと会話ができる女の子だ。それがこんな状態ってことは、よほど切羽詰まっているのだろう。
「そんなことない」
「ルビィと榎本くんは、友達じゃないの……?」
「は? なに言ってんの黒澤」
黒澤の物言いに、苛立ちが募ってくる。だけどきっと全部、サヤカに吹き込まれたのだろう。黒澤の様子を見れば一目瞭然だ。
「俺はもう、黒澤とは友達だと思ってるんだけど」
「えっ……?」
黒澤はそこで振り向いた。瞳からは涙が溢れでていて、せっかくの可愛い顔が台無しだ。
「そうだ、マルが今日三人で一緒に勉強しようって言ってたぞ。俺はサヤカと少し話があるから、黒澤は先にマルの家に行ってくれ」
「えっ、う、うん、わかった」
そう言うと黒澤は立ち上がって、俺の横を通り過ぎてその場から立ち去っていった。
「さて……」
前に歩みを進めていく。一歩一歩地面を強く踏みしめるように歩いていき、俺はサヤカの目の前で立ち止まった。
サヤカは、バツが悪そうに俺から視線を逸らしている。
「サヤカ、黒澤になにしてた」
「……」
「黙ってないで答えろ!」
今の俺は最高に気分が悪い。黒澤からの質問を聞けば、サヤカが黒澤になにをしていたのか、おおよその検討がつくからだ。
「……じゃない」
「聞こえない」
俯いているサヤカの身体がプルプルと震えだす。そして、堰を切ったようにサヤカは言葉をまくしたてた。
「仕方ないじゃない! アタシだってもっとハルと仲良くしたいのにアイツが邪魔するんだから! ねぇハル、あんな奴とじゃなくてアタシとも仲良くしてよ! もっと話しかけてよ! なんでアタシじゃなくてあんな
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