がんばルビィ!
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るようだった。
「アンタさぁ……ハルと喋るのやめてくんない?」
「……る、ルビィは……」
上手く言葉が出てこない。よく知らない人と二人きり、緊張する。それに加えて、サヤカちゃんのあからさまに苛立ちの募った態度が、私に言葉を遮断しているようだった。
「アタシさぁ、ハルのこと好きなの」
「えっ……?」
「ハルはね、アンタみたいな根暗が気安く話しかけていい人じゃないの。わかってる?」
「で、でも、ルビィ……」
「……なに?」
「ピギィ!? な、なんでもないです……」
怖い。私はその感情だけに支配された。だから、それ以上なにかを言うことはできなかった。
でも、榎本くんはとても話しやすい人だ。こんな私を変な目で見ずに、真摯に向き合ってくれる優しい人。お姉ちゃん以外で初めてμ’sの話ができる男の子。
私の初めての、男の子の友達。
「ハルと喋らないでって昨日も言ったよね? なのにアンタ、今日もハルに話しかけてどういうつもりよ」
「あ、あれは、榎本くんの方から……」
「そんなわけないでしょ!」
「ピギィ!?」
サヤカちゃんが突如大声をあげた。私はそれにびっくりして、変な声が出てしまう。
「ハルがアンタみたいな奴に話しかけるわけないじゃない! 妄想も大概にしなさいよ! それともなに、アンタとハルは友達だとでも言いたいわけ!?」
妄想、なのだろうか。榎本くんと仲良くなれたというのは私の妄想で、榎本くんと友達だというのは私の思い込みなのだろうか。
いや、そんなことはない。
たとえ私の思い違いだったとしても。
「ルビィと、榎本くんは……友達、です」
「……あっそ」
素っ気なく言うサヤカちゃん。その反応に私は根拠のない安堵を覚え、ホッと胸を撫で下ろした。
だけどその安堵は、サヤカちゃんの次の言葉で一瞬にして去っていった。
「ハルはアンタのこと、ウザいって言ってたけど」
「う、そ……」
ドサリと何かが地面に落ちる音がした。膝が痛い、視線がさっきより低くなっている。気がつけば私は膝から崩れ落ちていた。
「ホントよ。だからアンタ、もうハルと友達でいるの辞めて。ハルも迷惑してるのよ」
「……」
「だからもう、ハルにつきまとうのは辞めて。いい?」
なにも考えられない。榎本くんが私のこと、そんな風に思っていたなんて……。
「わか、りまし――――」
刹那。私の言葉を遮るように、背後から声がした。今年になってよく聞くようになった、聞いていると胸が温かくなるような男の子の声。
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