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国木田花丸と幼馴染
目標に向けて
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もう陽輝! そんなにジロジロみないでよ、やりにくいじゃない!」


 ついに俺の視線に耐えかねた曜さん。しびれを切らして俺に言葉を投げてきた。


「あっ曜さん、ヨーソローっす!」

「はいはいヨーソロー。これで満足?」


 ふてくされたように曜さんは言う。俺としては反応が返ってきたので大満足だ。


「もう無視しないでくださいよ! 嫌われたのかと思ったじゃないっすか!」

「あはは、ごめんごめん。ついイタズラしたくなっちゃって」


 曜さんペロッと舌を出してイタズラっぽい笑みを浮かべる。あまり悪びれる様子は感じられないのだが、可愛い仕草だったので先ほどのことは水に流すことにした。


「あれ? 陽輝、また背伸びた?」

「はい、また少しだけ」


 どうやら最近成長期を迎えているようで、このところグングンと身長が伸びている。


「どれどれー?」

「ちょっ、曜さん!?」


 曜さんは俺の背中にピタリと背中をくっつけて、自身の身長と比べ始めた。近すぎる曜さんとの距離に、背中がむず痒くなる。


「ほんとだ、身長伸びてる。さすが男の子」


 確認を終えて背中から曜さんの感触がなくなる。振り向いて曜さんに向き直ると、なぜか曜さんは嬉しそうだった。


「もう……恥ずかしいっすよ」


 曜さんの受験が終わった二月頃に久しぶりにこの水泳場で会ったとき、曜さんより少し身長が高くなっていて驚かれたことを覚えている。あれからおよそ半年の時間が経ったが、今では曜さんより十センチほど背が高くなった。


「よしっ! じゃあ私は飛び込みの練習してくるから、陽輝も練習頑張ってね!」


 いつの間にか準備運動を終えていた曜さんから最後にそう声をかけられ、曜さんは高飛び込み用のプールへと向かっていった。

 その後ろ姿を見送って、俺は一旦止めていた準備運動を再開する。入念に行ったそれを終えると、俺は練習のため、競泳用のプールへと向かうのであった。




 練習がひと段落つき、プールサイドへと上がる。壁際まで行って腰を下ろし、フッと息を一度吐いた。身体を休ませながら、ぼんやりとプールの方を見やる。子供からお年寄りまで、様々な人たちがプールで楽しそうに過ごしている。

 壁に背中を預けながら胡座をかき、スポーツドリンクを口にする。水泳ではあるが身体を動かしていることに変わりはない。水分補給は大切だ。


「ヨーソロー! お疲れ、陽輝」

「曜さん、お疲れっす」


 同じく練習がひと段落ついたのだろうか、曜さんがやって来た。曜さんは俺の隣に腰を下ろすと、俺と同じように自分のスポーツドリンクを口に含んでいく。

 ゴクゴクと音が聞こ
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