修学旅行
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
「ああ、大好きだぜ!」
「本当! じゃあ、μ’sのなかで誰が一番好き!?」
再び質問が飛んでくる。俺は迷うことなくそれに答えた。
「みんな好きだけど、一番はかよちんだな!」
「花陽ちゃん!? ルビィもね、花陽ちゃんが一番好き!」
「マジか! 一緒だな!」
「うん!」
うんと大きく黒澤は頷く。その瞳は今まで見たなかで一番キラキラとしていて、表情は今まで見たなかで一番嬉しそうだった。
極度の人見知りな黒澤。その笑っているところは今まであまり見たことがなかったが、今の黒澤の笑顔はとびきり輝いていて、素敵だと思った。
なんだか今のやり取りだけで、黒澤との距離がグッと縮まったような気がする。たまたま入った店がアイドルショップで、そこにμ’sのグッズが置かれていてよかった。
「ねぇねぇ、ハルくんルビィちゃん。花陽ちゃんってどの人ずら?」
クイクイと服の袖を引っ張ってきたマルに尋ねられる。どうやら俺と黒澤が好きだという花陽ちゃんが気になっている様子だ。マルの疑問には黒澤がいち早く答えた。
「この茶色いショートカットの人が花陽ちゃんだよ! 小泉花陽ちゃん!」
「ありがとうルビィちゃん。この人が、花陽ちゃん……」
CDジャケットに写る花陽ちゃんをまじまぎと見つめる我が幼馴染。そんなマルに黒澤が更にひとつ、付け加えるようにして言った。
「それでね! 花陽ちゃんの隣にいるオレンジ色のショートカットの人が、星空凛ちゃんって言うの! 凛ちゃんと花陽ちゃんは幼馴染なんだって!」
「幼馴染、星空凛ちゃん……」
「うん! それでね、その隣にいるのが――――」
それからしばらくマルに対して、黒澤によるμ’sの説明が行われるのであった。黒澤の話にマルはずっと耳を傾けて熱心に聞き入ったので、次第に黒澤の話にも熱が入ってしまったのだ。
黒澤によるμ’s講座は、なんと自由行動が終わるまで続いた。黒澤に話を中断させるのも一苦労であったが、俺達は何とか集合場所に時間通り戻ることができた。
しかし、黒澤はそれまでの話で満足できなかったようだった。それからの修学旅行の間、俺とマルは黒澤にμ’sの話を延々と聞かされるのであった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ