紅玉少女との出会い
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線も泳いでいる。これは重症だな。
黒澤ほどではないがマルも人見知りだったりする。黒澤と友達になるまでは、俺以外の友達は幼稚園の頃にひとりいただけ。マルの場合、初対面の人との会話に問題はないが、自分が興味のない相手への対応が素っ気ない。人見知りというより、相手を選んでいるという方が正しいのかもしれない。
「く、黒澤、ルビィです! よ、よろしくお願いしましゅ!」
しばらく待っていると、黒澤から挨拶が返ってきた。残念なことに最後の最後で噛んでしまって黒澤はガックリと肩を落としてしまう。だけど、一生懸命なところはきちんと伝わってきた。
「よろしくな、黒澤」
幼稚園以来マルに初めてできた友達、黒澤ルビィ。以前から俺が一方的に知ってはいたけど、今日初めて彼女と会話してもっと仲良くなりたいと思った。そんな意味を込めて、俺は黒澤の手をとって握手をした。
「ピ……」
「ずら」
黒澤の身体がピタリと硬直した。それを見てマルは、口癖だけをその場に残して耳を手で塞いだ。俺はマルが耳を塞いだ意図が理解できず、黒澤の手を握ったまま何もしなかった。
すると、黒澤の顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていき――。
「ピギィーーーーーー!!」
大きな悲鳴をあげた。
教室中にその悲鳴は響き渡り、何事かと思ったクラス中の視線が一斉に俺に向けられる。好奇心から興味深く視線を送る人もいれば、中にはまるで俺を犯罪者のように軽蔑する視線を向けてくる人もいた。
「く、黒澤!?」
「だから、ルビィちゃんは極度の人見知りだって言ったずら……」
「握手しただけで叫ぶほどの!? ちょっ黒澤、頼むからあまり叫ばないでくれ! 俺があらぬ誤解を受けてしまうから!」
「もう遅いずら」
「知ってたなら止めてくれよーー!!」
黒澤の叫び声と共に、俺の悲痛な叫び声も教室中に響き渡る。中学三年生になってまだ初日だというのに、今日初めて顔を合わせたクラスメイトの俺に対するイメージは最悪となったことだろう。
だけど、黒澤と仲良くなりたいと思った俺の気持ちは本物だった。マルの友達だからという理由もあるが、それ以上に黒澤が魅力的な人だと思ったからだ。
仲良くなるには前途多難すぎる気がするが、俺にはなぜか黒澤と仲良くなれそうな予感があった。それは、黒澤の友達であり俺の幼馴染、マルの存在があったからだと思う。
初対面でいきなり友達になろうとしたのが間違いだった。慌てずに、少しずつ黒澤との距離を縮めていければいい。きっと黒澤はマルと一緒にいることが多いだろうから、そのときに会話に混ぜてもらおう。
中学三年生になったばかりのこの日。俺はマル
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