紅玉少女との出会い
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いことだと思って諦めがついていた。
しかし俺の忘れかけていた好奇心は、思わぬ形で叶ってしまうのであった。
それは、新しい春がやって来た直後のこと。
満開の桜のもと、俺達はひとつ進級して中学三年生になった。気持ち新たに迎えた新学期の初日に、俺はずっと気になっていたマルの友達と邂逅を果たしたのであった。
そう、クラス替えである。
「またマルと同じクラスかよ……」
中学三年生になって迎えた新しい春。三年生の新しい教室で新しい顔ぶれとなったクラスメイトをちらほらと見かける。出席番号順に指定された新しい席に着いたはいいが、俺の右隣にいるその人物は古くからの付き合いである俺の幼馴染、マルであった。
「それはこっちのセリフずら。ハルくんとはこれで九年連続同じクラス、いい加減その顔も見飽きたずら」
「まったく同感だな」
ツンと澄ました表情で言ったマルの言葉には俺も激しく同意する。登下校で毎日顔を合わせるだけならまだしも、九年間もずっと同じクラスだなんてどう考えてもおかしい。
このような関係を幼馴染以外に「腐れ縁」とはよく言ったもので、どう考えても俺とマルは縁が腐っているとしか思えない。おかげで俺達が連続で同じクラスになった記録をまたひとつ更新してしまった。
マルの言葉はもっともで、登下校のみならず教室でも毎日顔を合わせるとなってくると流石に見飽きてしまうものだ。
「でも今日からルビィちゃんと同じクラスになるから、それだけは嬉しいずら!」
「ルビィちゃんって、黒澤ルビィか? そいつが前に言ってた新しくできた友達?」
マルの口から初めて聞かされたその人物の名前を、マルは嬉しそうな表情で言った。以前にマルに友達ができたと聞いたことがあったので、そうではないかと尋ねてみた。
「ずら! ハルくん、ルビィちゃんのこと知ってるずら?」
「同じ学校で同じ学年だぞ。話したことはないけどどの子なのかは分かる」
「なるほどずら」
知り合いでなくとも、同じ学年にいる同学年の人の顔と名前をなんとなく思い浮かべることはそう難しくない。内浦のような田舎の中学校だと生徒数も少ないので、三年生ともなれば同期のことは嫌でも覚えてしまうというものだ。
俺から見た黒澤ルビィは、マルと似て真面目で大人しい人物という印象だ。普通だとそのような人のことを俺は覚えるのが苦手なのだけれど、黒澤ルビィに至っては別であった。
その要因のひとつとして、ルビィという独特の名前。最近は少し変わった名前――いわゆるキラキラネーム――が流行っているらしく、俺の友達にも何人かキラキラネームの奴がいる。だけどルビィという名前を
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