プールサイドにて
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がら言うと、それが面白かったのか曜さんは盛大に笑い飛ばした。いやマジで笑いごとじゃないって。こっちはめちゃくちゃ背中が痛い。その痛みをなんとか堪えて俺は立ち上がり曜さんと向かい合った。
曜さん――渡辺曜さん。俺がここ『沼津グリーンプール』に初めて訪れた中学一年生の春過ぎに出会った人だ。曜さんは俺のひとつ年上、つまり今は中学三年生である。通っている中学は違うけれど、俺のなかで曜さんは頼れる先輩のような存在である。
「あれ? 陽輝、しばらく見ない間に背伸びた?」
「そりゃあ育ち盛りですから、背ぐらい伸びますよ」
曜さんは俺を少し見上げるように見つめてそう言った。曜さんがプールに来なかった半年の間で、俺の身長もそこそこ伸びたのだ。
「陽輝、ちょっと後ろ向いて」
「こうっすか?」
曜さんの指示通りに後ろを向く。一体なにが起きるのやら、俺には皆目見当もつかない。まさか、また背中に強烈な平手を喰らうんじゃないだろうか。今になって曜さんの言う通りに後ろを向いたのを後悔した。
「あの曜さん、そっち向いていいですか?」
「だめ」
わずかな希望を抱いて曜さんに尋ねてみたけど、たった二文字で断られる。
また背中にあの激痛がやって来るのだと恐怖を抱く。しかしこうなったら甘んじて受け入れるしかない。俺はいつ背中に激痛が走ってもいいよう覚悟を決めた。
しかし、俺の背中に訪れたのは、痛みとはほど遠い感触だった。
「あの、曜さん……?」
ピタリと、背中に何かが張り付く感触。温かさを伴ったそれが曜さんの背中だと理解するのに、さほど時間はかからなかった。
「陽輝、やっぱり私より背高くなってる」
背中越しに曜さんの声だけが聞こえ、ドキドキと鼓動が高鳴っているのが自分でも分かる。俺の背中にピッタリとくっつけられた曜さんの背中は身長を比べるためなのに、競泳水着ひとつ隔てて伝わる感触が気になって仕方がない。
「半年前は私より小さかったのに……」
「伸びたものは仕方ないじゃないっすか」
「むー……まぁいっか! この調子でどんどん大きくなれよ少年!」
そう言って曜さんはバシバシと俺の背中を叩いた。きっと応援や激励の意味が込められていたのだろうけど、俺はそれどころではなかった。
曜さんが叩いたのは背中。そう、出会い頭に思いっきり叩かれて未だ痛みが残っている、あの背中である。
「ってぇ……!」
少しは引いてきていた痛みが再来する。その痛みに耐えきれず、俺は再びその場に崩れ落ちるのであった。
「あっ……ごめん陽輝! 大丈夫!?」
あまりの痛みに俺は声を発することすらできず、今度
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