勉強会とハプニング
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ことを話すとしよう。
「いや、俺は前々から思ってたぞ。大人っぽくて綺麗だなって」
「そ、そんなっ、急に言われるとマル困るずら……」
「何で困るんだよ」
「だ、だって……」
「言っておくけど嘘じゃないからな。マジでずっと前から綺麗だなって思ってたよ」
「ず、ずらぁ……」
マルは口からは遂に口癖しか出てこなくなった。幼い頃からの付き合いである幼馴染の俺は、マルの口癖だけで放たれたその意味が分かるという特技を持っている。
ちなみに今の「ずら」は照れているときの「ずら」だ。なんだマルのやつ照れているのか。よく見ると、マルの顔が少し赤くなっている。コタツはそこまで暑くないから、やはり照れて顔を赤くしているのだろう。
「本当、綺麗だよな……マルの字」
「……ずら?」
「字が綺麗だって褒められて、顔を真っ赤にして照れるとか、やっぱりマルって面白いな」
字を褒められただけで何をそんなに赤くなるんだと思ってしまうが、マルにとってはそれだけの事だったのだろう。幼馴染でもまだまだ知らないことがあるのだと、俺は素直にそう思った。
「ハルくん」
普段よりひときわ低いマルの声が耳に届いた。おそるおそる向き直ると、マルは笑顔だった。笑顔だけど、笑っていなかった。
やばい、この表情をしたマルは怒っている。これも幼馴染だから分かるのだが、マルが何に対して怒っているかまでは分からなかった。やはり幼馴染と言っても、まだまだ知らないことの方が多い。
「ずらーーーー!!」
「ちょっマル、いきなり消しゴム投げてくんな! いてっ、おい鉛筆は危ないだろ! タンマタンマ! カッターはシャレにならないって!」
急に口癖を叫びだしたと思ったら、マルは手元にあった消しゴムや鉛筆を俺に向かって投げつけてきた。筆箱の中からカッターナイフを取り出されては、さすがの俺もマルに向かって必死に制止を促した。
それからマルは物を投げてこなくなったが、まだ怒りは収まっていない様子で顔を真っ赤にして?を膨らませている。
「ハルくんの馬鹿! 不良! 女たらし! 大人になったらハゲてヅラを付ける人生になるといいずら!!」
「なんでそんなに怒ってるんだよ!」
「っ!? ハルくんは知らなくていいずら!」
「なんでだよ気になるだろ!」
「いいの! それより勉強の続きをするずら!」
マルが怒っている理由が分からず追求しようとしたが、マルはそれを拒んで勉強の続きをしようと言う。
こうなったマルの意思はテコでも動かないので、俺は諦めて勉強の続きを再開することにした。
いつもは聞き分けが良くて素直なんだけど、意外と頑固なところがあ
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