幼馴染という関係
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的確に突くなんて……国木田さん、アンタ最高だぜ!」
「お前らやめてやれ、ハルの弱点が頭だとかそれ以上言ってやるな! 事実なんだから可哀想だろ!」
「そうだな……すまんハル、俺達が悪かった。お前の頭の方が悪いけど」
「上手い! 国木田さん座布団一枚持ってきて!」
「ずら!? ざ、座布団?」
「あー国木田さんにはこのネタ伝わらないのか」
「ごめん国木田さん、悪かったよ。……ハルの頭が」
「お前ら人の頭が悪いことを好き放題言って遊ぶなーーーー!!」
「うわ、起きた! 逃げろー!」
散々な言われように俺が勢いよく立ち上がって文句を言ってやると、友人達はこぞって俺の席から慌てて立ち去り、そそくさと教室から出て行った。人をイジるだけイジっておいて逃げ出す友人達を見て、今後の友達作りは見直す必要があると悟った。
「まったく、俺ってそんなに頭悪いか?」
「ずら」
マルは口癖だけで答える。こいつはたまに口癖だけで返事をすることがあるので、昔はそれで苦労したものだ。だけど十年も一緒にいるとマルの口癖にも慣れてきて、そこにどういう意味が込められているのか手に取るように分かるようになった。
ちなみに今の「ずら」は肯定の意味が込められた「ずら」だった。できれば知りたくなかった事実であるが、分かってしまうものは仕方がない。
「お前までそんな風に俺をいじめるならケーキを奢る約束は無しだな」
「いいけど、今度からケーキ奢るって言われても絶対に宿題見せてあげないずら。勉強も教えてあげないずら」
「ごめんなさい花丸さん、俺と俺の頭が悪かったです」
勢いよく自分の非を認めると、マルは「ふふっ」っと上品に笑ってみせた。実際のところ、俺は勉強というものが上手くできないので、マルに勉強を教えてもらえなくなってしまうのは死活問題だ。俺のテストの点数や成績は、マルに教えてもらって何とか中の下あたりを保っている。
勉強という点においては、マルが俺の幼馴染であることに感謝しなくてはならない。マルが幼馴染で本当に良かった。口に出すと恥ずかしいし調子に乗られると困るので、絶対に本人には伝えないのだが。
けれど伝えたところで、マルに限って調子に乗るなんてことはないだろう。俺の幼馴染はいつも控えめで大人しい性格をしている。
「ハルくん、マル達も帰ろう」
「ん、そうだな」
「ふふっ、今日は帰りに松月のケーキずら。それもふたつ……」
松月のケーキを想像しているのか、マルの口からヨダレが垂れている。そっとハンカチを渡してやると、マルはハンカチを受け取って口元をゴシゴシと拭った。
マルは使ったハンカチを俺に返してこなかったの
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