幼馴染という関係
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る気がしないずら」
マルが何かを言ったが俺の耳にはもう届くことはなかった。他にも何人かの友人が俺の周りを取り囲んで冷やかしを入れてくるが、それを気にすることなく俺は必死に宿題を写した。もし宿題を忘れたらどんなに恐ろしい目に遭うのか、想像しただけで身震いが止まらない。
その昼休みのうちに宿題を写し終えることができた俺は、何とか次の授業を乗り切ることができた。これもマルという幼馴染がいたおかげだ。このときばかりは、頭の良い幼馴染がいる俺は、相当恵まれているのだと実感するのだった。
授業が終わり放課後を迎えると、俺はせっせと下校する準備を始めた。教科書やノートを通学鞄に詰め込んでいると、どこからともなく友人達が俺の席の周りに集まってきて、準備をしていた手を止めた。
「なあハル、昼休みのあれは何なんだよ!」
「あれ?」
「とぼけるなって、国木田さんに宿題を見せてもらったあの会話だよ! やっぱりお前、国木田さんと付き合ってるんじゃないのか?」
「アホか、俺とマルはそういうのじゃないって何度も言ってるだろ」
「そう言われてもなぁ……」
どうやらこいつらは昼休みの俺とマルの会話を聞いていたらしい。あのようなやり取りは日常茶飯事で頻繁に行われているので、俺とマルの関係をこのように詮索する友人は少なくない。その度にマルとはただの幼馴染でそれ以上でも以下でもないと説明する羽目になる。何度も説明するのは面倒なのでいい加減やめてほしいところだ。
「おーい、マル。ちょっとこっち来い」
同じく下校の準備を進めていたマルを手招きして呼ぶと、マルは目をキョトンとさせていた。たぶん呼ばれた理由が分からないのだろう。手を止めて顎に手を当てて考えるその姿を見ていると、マルの頭上に疑問符が浮かびそうなほどである。
「いいから来いって」
今度は少し強めに呼ぶと、マルは席を立ってこちらにやって来た。
「何ずら?」
「こいつらに俺達の関係を説明してやってくれ」
「あー……また?」
「そうなんだよ、こいつらしつこくてさ」
マルにそう説明すると呼ばれた理由に納得したようで、マルは非常にめんどくさそうな表情を見せた。ハァっと溜め息をひとつつくと、マルは俺の席の周りにいる友人達に俺との関係について説明を始めた。
「マルとハルくんはただの幼馴染ずら。マルは宿題を忘れた挙句、人の宿題を写すような頭の悪い人は好きじゃないから、そういった関係では一切ございません。以上ずら」
説明を終えてスッキリとした表情を見せるマル。その説明を聞いた俺は気がつけば床に倒れていた。
「おいハル、大丈夫か!?」
「ハルの弱点を
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