第二十九話 怪盗その九
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「まだな」
「考えていないんだ」
「何処がいいかとかな」
「その辺りも考えていきましょう」
順一は考え込んだ久志に微笑んで話した。
「少しずつ」
「そうしてか」
「はい、まずはです」
「あと七人か」
「探し出しそして」
「仲間にしていくか」
「そうしていきましょう」
こう言うのだった。
「是非」
「よし、じゃあな」
「さて、後はな」
今度は正が言ってきた。
「団長さんのとこに行ってな」
「おいらのことだね」
「話すか、ただな」
「ただ?」
「今までかなり盗んできたよな」
怪盗としてとだ、正は淳二本人に尋ねた。
「そうだよな」
「何十とね」
「盗んだお宝どうしているんだ」
「おいらがコレクションにしてるよ」
悪びれずにだ、淳二は正に答えた。
「大事にね」
「そうか、じゃあな」
「まさかと思うけれど」
「そのまさかだよ」
これが正の返事だった。
「全部返さないとな」
「折角集めたのに」
「馬鹿言え、返さないとな」
「その罪を問われるっていうんだね」
「わかってるな」
「そりゃおいら盗賊だから」
淳二もわかってはいてこう返した。
「それはね」
「だったらいいよな」
「ううん、全部返して」
「罪を逃れろ」
「さもなければです」
進太も言ってきた。
「貴殿は我々の仲間になりましても」
「お尋ね者で」
「そうです、その咎で」
財宝達を盗んできたそれでだ。
「首を刎ねられますぞ、若しくは縛り首か」
「ううん、打ち首の方が苦しみは少ないけれど」
縛り首は吊るされてそのまま窒息か首の骨が折れて死ぬ、一瞬で済む斬首よりも苦しむ時間は長いのだ。
「それでもね」
「どちらもですな」
「嫌だね」
「ではです」
「盗んだものは全部返して」
「そのうえで咎を逃れて」
そうしてというのだ。
「共に旅をしましょう」
「残念だね」
「ものを返し賠償も支払えば」
「お金はあるよ」
淳二はこちらもあると答えた。
「それも盗んで手に入れたんじゃないのがね」
「どうやって稼いだんだよ」
「いや、普通にモンスターを倒してね」
「それは俺達と同じか」
「あとそれを元手にしたギャンブルで」
「御前博打もするのかよ」
「趣味でね、こっちの世界でも負け知らずだよ」
淳二は笑って述べた。
「実は相当なお金を持っているよ」
「一体どれだけだよ」
「一つの街を買える位かな」
明るい笑顔でだ、久志に答えたのだった。
「ちょっとしたね」
「おい、それ位あるのかよ」
「うん、それも元手があれば」
「それでか」
「ギャンブルは絶対の自信があるから」
負けない、絶対に勝てるそれがというのだ。
「人相手とか競馬ならね」
「そういう
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