シーホーク騒乱 4
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パターンだったのだが。
「《大いなる風よ》!」
「ウボォアーッ!?」
三回に一回は誤射し、リビングアーマーに隣接する秋芳を盛大に吹き飛ばす。
「《我は射手・原初の力よ・我が指先に集え》!」
「あいたぁッ!?」
背伸びして学んだ黒魔【マジック・バレット】を牽制のため放てば散弾と化して秋芳も巻き込む。しかもリビングアーマーはほとんど無傷。
「魔法の矢は的を外さないんじゃないのかよ! D&Dにはそう書いてあったぞ!」
「そんな本知りませんわ!」
「ガープスか! 呪文射撃判定のあるガープスか!」
「だからそんな本知りませんわ!」
「……もう攻性呪文禁止。回復や支援に専念してくれ」
「ぐぬぬ……、わかりましたわ」
といってもウェンディが秋芳にすることはなにもない。【フィジカル・ブースト】で身体能力を上げなくても無駄のない動きで攻撃し、回避する。この体術の持ち主に魔術の援護は必要ないだろう。マナのむだ遣いだ。
負傷することもないので【ライフ・アップ】はいちども使っていない。
魔剣を振るっているので【ウェポン・エンチャント】も不要だ。
ウェンディはときおり発見する負傷者に【ライフ・アップ】で治癒する以外は、もっぱら傍観につとめた。
(それにしてもなんて不思議な動き。帝都の闘技場でも、あんなふうな戦いかたをする剣闘士なんて見たことありませんわ)
アルザーノ帝国北部イテリア地方に存在する帝都オルランドはフェジテ以上に発展した都市であり、学術施設や魔術機関のほか観光地や娯楽施設も多い。
闘技場もそのひとつだ。
剣闘観戦は貴族の娯楽のひとつで、なかにはみずから参加したり決闘の舞台にする者がいるほどだ。ウェンディ自身はあまり好きではなかったが、公爵家の令嬢としてつき合いなどで何度か観戦したことがある。
秋芳の剣法は道教に縁のある武当派や峨眉派のもの、いわゆる中国剣法だ。
連続性のある柔軟な動きが特徴で、軽快で優美。敏捷性と変化に富んでいて、素手による突きや蹴り、組んだり投げたりといった赤手空拳の技も混在している。
(武闘というよりも舞踏、まるでダンスですわ!)
これにくらべれば剣闘士の戦いかたなどなんと無粋で泥臭いことだろう。
ウェンディに武というよりも舞と称された秋芳の剣だが、そのひとつひとつの動きには必殺の技が込められている。
中国五〇〇〇年の歴史が生んだ絶技でもって街を荒らすリビングアーマーたちを手当たり次第に斬る。
斬る。
斬る。
斬る。
斬って、斬って、斬って、斬って斬って斬って、斬りまくる。
わざわざこちらから探し回らなくても、むこうから襲いかかって来るので迎え撃つのみだ。
「しかしこの剣、よく
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