シーホーク騒乱 4
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ウラーッ! ウラーッ! いいぞ、わが鋼の軍団よ。鉄の嵐となって薄汚い金にまみれた豚どもを粛清するのだ! 逃げるやつは拝金主義者だ、逃げないやつは訓練された拝金主義者だ! ウラーッ! ウラーッ!」
シーホーク総督府はカルサコフ率いるリビングアーマーたちによって猛攻撃にさらされていた。
城壁に開けられた狭間から間断なく放たれる攻性呪文や銃撃によってリビングアーマーたちの数は減っていくが、恐れも痛みも疲れも知らない鋼の群れの勢いは止まらない。
寄せ手の数が尽きるのが先か、守り手の戦意がくじかれるのが先か。総督府はリビングアーマーたちに押されて徐々に制圧されていく。
たとえリビングアーマーが全滅したとしてもカルサコフ自身が残っている。
みずからも魔導の鎧を身をつけた、カルサコフ自身が。
搭乗操縦型ゴーレム『スターリ・ルイーツァリ』。着用した人間の動きをそのままフィードバックして動かせるだけでなく、音声や思考による制御も部分的に可能な漆黒の巨人魔像。
四メートルを超える巨躯から繰り出される一撃の威力は破城鎚に匹敵し、その装甲は刀剣を防ぎ銃弾をも弾く。
このような規格外の怪物を屠れるとすれば強力な魔術のみ。
「《紅蓮の獅子よ・憤怒のままに・吼え狂え》!」
その、魔術による攻撃によってルイーツァリが爆炎につつまれた。
黒魔【ブレイズ・バースト】。収束された熱エネルギーの球体を放ち、着弾地点を爆炎と爆風で薙ぎ払う強大な軍用攻性呪文。
その威力は大きく、城壁はもとより堅固な鎧や厚い皮膚を持つ生物をも粉々に破壊することができるので、城攻めのさいに多用される爆裂呪文。
並の人間がこの爆炎に巻き込まれれば消し炭すら残らない。
「……朝に嗅ぐ攻性呪文の匂いは格別だな」
「な、なに!?」。
しかし物陰に潜んでいた総督府勤めの魔導士による不意打ちはカルサコフを倒すどころか、ルイーツァリの外装に傷ひとつ負わせることもできなかった。
黒光りする金属の表面に無数のルーンが浮かび上がっている。その文字の意味するものは耐魔。
魔術抵抗および魔術防御・回避力上昇、魔術ダメージの減少。
魔術に対するありとあらゆる防性・対抗処理が施されていたのだ。
「くそっ、《雷帝の閃槍よ》《雷帝の閃槍よ》《雷帝の閃槍よ》!!」
魔導士は矢継ぎ早に攻性呪文を唱える。
【ライトニング・ピアス】。貫通力の高い電撃の一閃で敵を射抜く、基本にして最強の呪文と名高いC級軍用攻性呪文。
幾筋もの雷光がほとばしる。
そのひとつひとつが岩盤を穿ち鉄板をも貫く強力な雷光。だが先ほどの【ブレイズ・バースト】同様、内部のカルサコフどころかルイーツァリの外装にわずかな傷もあたえることもできない。
必殺の雷光は命中寸前にひしゃ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ