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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 3
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を作ることができます」

 さすがにかなり疲れるけどな。
 慣れない神道系の生産呪術を使った秋芳は心中で一人ごちる。

「土地の開拓もおまかせください。式神を使いすぐにでも山々を切り崩してみせます」
「……お願いします」
「たのんだぞ!」
「はい、この地に京師(みやこ)を造ってみせます」





 天にむかってそびえ立つ断崖絶壁。その前には祭壇と太極八卦図の描かれた布が絨毯のように敷かれている。そして秋芳と京子、十数人の宋人の姿があった。
 この宋人たちはみな土木作業の専門家たちだ。山を切り崩すといっても秋芳にも京子にも掘削の技術や知識はない。考えなしに破壊して危険な山崩れなど生じないよう、監督と指示を頼んだのだ。
 彼らは好奇心と期待に満ちた顔で秋芳たちを見つめている。風雨を呼び、元の軍に痛手を負わせた神仙の噂はすでに宋の人々の間に広がっているのだ。
 次は方術で山を平らげると聞いて、どんな神業を見せてくれるのかと待っている。

「この手の作業には頑丈な機甲式がふさわしいんだが、作る材料も時間もないし、即席の使役式に働いてもらう」

 鋼鉄の形代を核として生み出された堅牢頑丈な機甲式。たとえば鋼のボディにオイルの血が流れる装甲鬼兵などなら岩を砕き木を倒し地面に穴を掘るなどの重労働も楽々とこなしてくれるだろう。

「うん、早くはじめてちょうだい」

 期待しているのは宋人たちだけではなく京子もいっしょだった。なにせ使役式を作るというのは鬼や竜などの霊的存在を降して意のままにあやつるということだが、今ここにそのような存在はない。
ということは霊災を発生させ、フェーズ3まで進行させたものを式に降すことになるのだが、さすがの 京子もそのような現場を見るのは初めてなのだ。

「さて京子、霊災とはなにか。簡潔に説明しなさい」
「なによ急に講師モードになっちゃって。……霊災とは万物に満ちる霊気が極端に偏向し、五気と陰陽の
バランスを崩すことで発生する霊的な災害のこと。生じる霊災の性質は様々で、基本的にまったく同じ霊災というものはそれが人為的に引き起こされたものでない限りひとつも存在しない。でしょ」

 さすがは陰陽塾で一、二を争う優等生。よどむことなくすらすらと答える。

「そのとおり。さて今回はまさにその人為的に霊災を引き起こすわけだが、ここで見た術をリアルで真似したりしてくれるなよ? 重大な陰陽法違反だ」

 かつて京子は霊災修祓の体験をのぞみ、秋芳に霊災を起こすよう頼んだがことわられたことがある。
 故意に霊災を起こすことは街中で大量のガソリンや火薬をまいて火をつける行為にひとしい。たとえ個人の敷地内だったとしてもゆるされることではない。
 今からすることは現実ならざる世界だからこそでき
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