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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 3
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良い。龍脈が集まり、良い気が流れ込んできます。皇帝陛下の住まいとして、そして人々が暮らす場所としてはけっして悪い場所ではありません」
「まぁ、風水ではそうなのかも知れないが、いかんせん土地が狭く水に乏しい。とてもではないが生活に適した場所ではない」
 
 風水という思想は漢の時代(紀元前二〇二〜二二〇)までには成立したとされ、そのあとの晋の時代に郭璞(かくぼく)という人物が風水思想を集大成し『風水』という言葉もこの人が創始したとされる。宋代にはさらに普及し上は皇帝から下は庶民まで風水を信じていた。
 余談だがあの厩戸皇子。旧一万円札の人としても有名な聖徳太子は自分の墓を築かせるにあたり。
 「ここの気を切れ、あそこを断て。私は子孫を残したくないのだ」
 などとわざと風水を悪くし、そのせいか太子の子らは蘇我氏に殺され、滅亡したという。
 いったいどのような考えでそのような指示を出したのか? もうこれだけで一冊の本ができそうなので、だれかくわしい人にこれを題材にした漫画や小説を書いて欲しいものだ。
 
 閑話休題。

「山を削って土地を開拓し、井戸を深く掘って水を得ればいいのです」
「あいにくとそんな大規模な土地開発をしている余裕はないのですよ。なにせ今は補給もままならず食糧のたくわえも底が見えはじめて……。まさかお二人のお力で可能だとか?」
「そのまさかですよ、陸丞相。土地の開発と、当面の食糧問題も私たちがなんとかします」

 そう断言した秋芳はあらかじめ用意していたいくつかの物をもってこさせた。
 中に土が入った大きな桶と、水の入った小さな桶。そしてひとつかみの種もみ。
 中国の北方は寒冷な乾燥地帯で麦や高粱といった畑作物が中心だったが、温暖湿潤な南方では稲作中心の水田による農耕が盛んだった。

「春に種をまき、植えつけ、夏に花が咲き、秋に実る稲穂ですが、私たちの術を使えばすぐにでも収穫できます」

 そう言って桶の中に種もみと水を入れ、祝詞を唱え始める。

「――それ神は唯一にして、御形なし、虚にして、霊有り、あめつちひらけて此のかた国常立尊を拝し奉ればあめにつくたま、つちにつくたま、人にやどるたま、豊受の神の流れを宇迦之御魂命と、なりいでたまう、永く 神納成就なさしめたまえば――」

 穀物の神である宇迦之御魂命(うかのみたまのかみ)を称え、その加護を願う祝詞。
 呪力に感化され、種もみはまたたく間に発芽し、苗となり、穂がのび、花が咲き、黄色くたわわに実ったもみが桶をいっぱいにする。

「こ、これは……」

 先日は雨を呼び、今さっきも数多の呪術を見せられたが、これまた予想外のできごとに趙?も陸秀夫も目を丸くして仰天する。

「こうして新たに実った種もみをさらに増やすことで、宋国二十余万の糧
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