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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 3
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ば唐の玄宗皇帝。玄宗皇帝というと開元の治や楊貴妃との放蕩ぶりが有名だが、や?和璞、師夜光、張果、羅公遠といった、当代随一の著名な道士や僧侶を集めて呪術に没頭していたという。
 ?和璞。卜占に長け、人の姓名や吉凶、前世や寿命をあてるばかりか、寿命をのばしたり生き返らせることができたという道士。
 師夜光。見鬼の才に秀でた仏僧。
 張果。白いロバに乗って一日に数千里を移動し、休むときはロバを紙のように折りたたんで箱にしまい、乗るときには水を吹きかけて元のサイズにもどしたという。式神の一種であろうか。また幾度も死んだがそのたびに生き返ったとも伝わる。
 羅公遠。その張果をはじめ多くの道士や僧侶と術くらべをして勝利し、月まで橋をかけて渡ったり、雨を降らせたり天狐を捕らえたりと、特に活躍の多い道士。
 話はその羅公遠のことにおよんだ。

「羅公遠は隠形の使い手で玄宗皇帝は教え乞うたが、それは君主の学ぶものではないと断られたそうだ。おぬしも同じ考えか?」
「はい。皇帝たる者がこそこそと隠れる術を学んではいけません。むしろ万里の彼方からでも万民におのれの存在を知らしめる強大な気を放つ存在になるべきだと思います」
「ふぅむ……。では秋芳よ、教えるのがだめなら、せめてその術を見せてくれ。パッと消えるのであろう? パッと」
「わかりました」

 秋芳の実力ならば特に詠唱も集中もせずに気配を断ったり姿を隠すことはできる。だが今回はあえて大仰に術を見せつけた。
 両手の指を組み合わせて大金剛輪印を作り、静かに呪文を唱え、心臓から額、左肩、右肩、頭上を加持。

「――オン・マリシエイ・ソワカ――オン・アビテヤマリシ・ソワカ――」

 霊気が練られ、呪力と化し。それを呪術へそそぎ込む。
 手印を穏形印へと変え瞬間、秋芳の姿がゆらりと揺らぎ、陽炎のようにかき消えた。

「おお! 多麼驚奇(なんてふしぎな)。ほんとうに消えたっ」
「ほかにもこのような術があります」

 射覆(せきふ)の物当てに始まり、簡易式をもちいて鳥獣や人を象り『白蛇伝』などを演じた。五行符を打ち、なにもない場所から樹木や火球、石燈籠や刀剣、清水などを出現させる。
秋芳と京子は様々な呪術を披露して幼帝をおどろかせ、楽しませた。

「ところで聖上、陸丞相。崖山を離れて南の国に亡命するという話を聞きました」
「うむ、そういう話じゃったな丞相」
「はい。崖山はあくまで仮の行宮、長居するつもりはありません」
「先方から色良い返事はもらえましたか?」
「いや……、目下交渉中です」
「そうですか。ではここに腰を落ち着かせてはどうでしょう。三方を山に囲まれ、一方が海に面した崖山は天然の要害で元と戦うにはもってこいの場所です。しかもこの地形は背山臨水といって風水的にも非常に
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