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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 3
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られて左道の徒にすがるなど、宋の命運もいよいよおしまいだな」
「……しかし、この霧はいつになったら晴れるのか。もう三日もこの調子だぞ」
「冬でさえこの湿気だ。夏だと思うとぞっとしないな」
モンゴルら北方生まれの兵士は寒さには強いが湿気には弱い。服を濡らし寝具を湿らせ、負傷者の傷口は乾かず不快な疼痛にさいなまれることになる。
「あの太上準天美麗貴永楽聖公とやらに霧を晴らすよう言ってみるか?」
「よせよせ! この前のような目はごめんだ。次は雷雨ではなく津波が押しよせてくるかもしれんぞ」
元の将校たちの願いが天に通じたわけではないが、視界をさまたげていた濃い霧は午後になって風に流され、ふたたび元の陣営から崖山の様子が一望できるようになった。
「な、なんだあれは……」
一同は地形の変化に愕然とした。
顔だ。
高くそびえ立っていた山が人の顔になっていた。
正確には崖山一帯の広大な山腹全体が顔の形のように彫られていたのだ。
「ま、まるで雲崗や敦煌の石窟ではないか……!」
「いや、それらとは比較にならん規模の巨大さだ。あんなものをわずか三日で造ったというのかっ!?」
口にあたる部分は港になっているらしく、埠頭が舌のようにのびている。両目や両鼻孔には猥雑とした街並みが見え、頭頂部には楼閣が建ち並び、それを囲う城壁はまるで冠のようだ。頭の側面や頬の部分からは地上の海沿いまで棚田が広がり、水田の輝きが水晶の煌めきを見せていた。
奇観だ。
この世のものとは思えない異様な光景がそこにあった。
「な、南無阿弥陀仏……」
「こらっ、なぜ手を合わせて拝む!」
「はっ、すみません。仏様のお顔に見えたもので、つい」
「むぅ、そう言われればたしかに仏尊顔に見えなくもない……」
「おお、仏様じゃ!」「御仏が降臨なされた!」「宋には仏の加護があるのか……」「先の嵐は仏罰だったのかもしれない……」「神仙も味方していると聞くぞ」「如来様が西方より参られたぞ」
兵たちの間に動揺が生じた。
べつに秋芳や宋の開拓者たちは意図してこのような造形にしたわけではない、まったくの偶然だった。だが人というのはみっつの点があるだけでそれを顔と認識する生き物だ。シミュラクラ現象と呼ばれる錯覚で、このときの元の将兵らは崖山に仏の顔を見た。
不覚にも総大将である張弘範自身が突如として出現した仏顔都市に畏敬の念をいだいてしまっていた。それはほかの緒将も似たようなもので、みなの表情にも畏れの色が浮かんでいる。
「すごい! すごいぞ! なんておもしろい街だ。ぜがひでも手に入れたい」
そうでない者もいた、東安王メデフグイだ。
「こ、これは東安王殿下。しかしあの仏顔……、あ、いや妖しき鬼面都市。見た目も異様ですが
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