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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 3
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魚釣城というのは四川地方の重慶府魚釣山に築かれた城で、王堅や
張?
(
ちょうかく
)
といった南宋の名将が立て籠もり、一二四三年から一二七九年にかけての三六年間ものあいだ元軍の侵略に対して頑強に抵抗した。特に一二五九年の戦いは凄まじく、元軍の鉄騎兵部隊に対して城内の南宋軍は一歩も退かずに応戦し、元軍を率いていた第四第皇帝モンケ・ハンはこの攻城戦の陣中で急死した。
四川地方での戦いには嘘かまことか面白い伝説がある。
蜀漢の首都であった成都の近くには子竜塘という場所がある。あの趙雲(字は子竜)が愛馬である白龍駒の身体を洗ったということでその名がついたという池のほとりだ。
このあたりに元軍が押しよせ、宋の軍を敗走させた夜のこと、深い夜霧の中から一騎の武将が姿をあらわした。甲冑も服も馬も雪のように白い。
おどろく宋の人々に「我につづけ」と叫んだ純白の武将は元軍のただ中に突っ込み、槍をふるって敵をなぎ倒した。「あの白づくめの武将は趙雲にちがいない、きっと大昔の名将が神霊と化して助けに来てくれたのだ」と喜んだ人々は武器をとって趙雲につづき、激戦の末に元軍を退けたという。
人々は趙雲の廟を作り、香を焚いて感謝したそうな。だがこれは摩訶不思議な霊験などではなく、当時の宋の将軍だった余?という人物が趙雲の扮装をして軍の士気を高めた鼓舞の計だったとか。
これもまた一種の乙種呪術といえよう。
「兵站の維持も簡単ではありませんしな。杭州以南ではいまだ反元の気配がただよっております。どこぞで兵を挙げられて補給線を断たれては、こちらが飢えに苦しむことになる」
「包囲している側の兵糧が先に尽きるなど、とんだお笑い草だ」
元軍は宋軍の立て篭もる崖山を包囲して消耗戦を強いている。メデフグイが率いてきた十六万の援軍のうち十万を海上陸路建設のための土木作業にあたらせ、残る六万の兵で昼夜を問わず間断なく攻め立てて宋兵を疲弊させ、もともといた二万の兵たちには休息をとらせていた。
「しかし先の暴風雨を機に宋軍は勢いを取り戻した。あれをふたたび弱めるのには時間がかかるのではないか?」
「なに、糧道を断っているのは変わりない。雨で多少の渇きを癒したところでふたたび弱まるのは時間の問題だ。兵站の維持に気をくばりつつ、あせらずに腰を落として攻め続けばいい」
「……そのことだが」
「うん?」
「最近宋兵の中に異形のものが交じっているというのだ」
「それなら聞いた。手足の生えた巨大な魚や犬の頭をした兵士が宋兵に味方をしているとか」
「それがしは牛や馬の頭をした者がいるときいた」
「虎の身体に猿の頭と蛇の尾が生えた怪物を見た者もいる」
「いずれも例の妖術使いが呼び出した妖怪であろう」
「古来より妖術で国が滅ぶことがあっても妖術で国が助かるためしなし。追い詰め
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