巻ノ百十二 熊本その七
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「伊達家と大久保家、そして少将殿についてじゃ」
「調べに行っていてですな」
「我等への見張りは減っている」
「そうなのですな」
「どうやら」
「うむ、どうも大久保家はな」
その彼等はというと。
「怪しいことが多い」
「まさか伴天連と」
「日の本を乗っ取ろうとしている者達と手を結び」
「そうしてですか」
「本朝を牛耳ろうとしておるのですか」
「そこまで考えているのかはわからぬが」
それでもというのだ。
「どうやらな」
「実際にですか」
「大久保家は伴天連と深いつながりがある」
「そうなのですな」
「実際」
「そうやもな」
こういうのだった。
「それでじゃ」
「服部殿、そして十二神将がですか」
「総出となり」
「我等にはですか」
「見張りが減りましたか」
「そうではないか」
こう言うのだった。
「やはりな」
「まさかと思いたいですが」
「伴天連と組むなぞ」
「民を騙し売り飛ばし奴婢とする」
「その様な者共と」
「全くじゃ、しかしな」
幸村は怪訝な顔でさらに言った。
「大御所殿も怪しいと思われるからな」
「調べさせますな」
「それも総出で」
「そうしますな」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「だからじゃ」
「この件若しや」
「かなり厄介なことにもなりますか」
「天下にとって」
「そこまでのものですか」
「そうも思う」
まさにというのだ。
「そう思うとどうもな」
「伊賀者達が少ないことは」
「我等にはよくとも」
「天下にはですか」
「よくなきこと」
「そうやも知れぬのですな」
「そうも思う」
幸村は歩きつつ述べた。
「拙者はな」
「ううむ、厄介ですな」
「それは実に」
「嫌なことが起きてな」
そしてだ。
「それを見るやもな」
「左様ですか」
「陰惨なものを見ますか」
「かつて多くの家であった様な」
「そうしたことが」
「あるやもな」
こう言うのだった、十勇士達に。
そしてだ、幸村は彼等にこうも言った。
「しかしな」
「はい、それでもですな」
「我々はですな」
「それを見ることも覚悟しつつ」
「そうしてですな」
「今は」
「熊本に行く」
そこにというのだ。
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