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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
邯鄲之夢 2
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「如来だか菩薩だかが現れて宋の味方をしただと? ふざけるな!」
総大将の張弘範を筆頭に、張弘正、張珪、劉深ら漢人とアリハイヤ、アタハイ、サト、李恒などのウイグル人やタングート人らの将校らが並んで座っている。そのうちの一人が大喝した。
秋芳らの呪術で撤退した元軍の攻撃隊長が本陣で叱責を受けているのだ。
「ほ、ほんとうです。五色の雲光とかぐわしい匂いが立ちこめ、あれはもうまことの神仏としか――」
「ほほう、それはこのような貌をしていたかな?」
「え? へ? い?」
くぐもった声が頭上から聞こえた。見るとちょろりとドジョウ髭の伸びた阿弥陀如来が雲間から顔をのぞかせ、ウィンクしたではないか。
「ひぇーっ!? 妖怪!」
さきほどの仏からは神々しい雰囲気がただよい、後光が発せられていたが、この妖仏からはそのような気配はなく、ただただ怪しかった。
仰天し、腰を抜かす隊長。そして呆然とする元の将校たち。
「おのれ妖怪!」
元に滅ぼされた西夏の皇族の出自ながら元の皇族のもとで育ち、元に忠誠を誓う李恒が妖仏めがけて槍を投げた。
槍は見事眉間に命中した。しかし妖仏はなんの痛痒も見せずに槍の柄をつかむと、ぐいぐいと自分から眉間に押し込む。すると口の中から穂先がにょきにょきと出てくるではないか。
いかなる肉体・空間構造になっているのか、さしもの猛将李恒も顔が青ざめる。
「ははは、そのへんにそのへんに。太上準天美麗貴永楽聖公どのもお人が悪い。将兵どもが驚いておりますぞ」
上等な服を着た一人の青年が鷹揚にあらわれた。
「これは、東安王殿下!」
元の皇帝クビライの十三番目の子。王太子である東安王メデフグイだった。
元はモンゴル人や漢人以外も多くの外国人を登用してもちいたが、このメデフグイは特に多くの外国人を配下にしたことで有名だ。
それも錬金術師や占星術師、祈祷師や預言者といったオカルト関係の者を多く側におき、魔術に傾倒したという。
「これなる摩訶不思議な現象はこの太上準天美麗貴永楽聖公、方臘の幻術。あわてることはない。聖公どの、そのへんでよろしい」
「はっ」
後にひかえる僧形の男が手を払うしぐさをすると妖仏は煙のようにかき消えた。
「なんと面妖な……」
「陰陽の気を操って本来その場にないものを知覚させる術です。簡単な術ですが道理を知らぬ素人が見ればおどろくことでしょう」
居並ぶ緒将を前にして尊大に呪術の説明をする方臘という男。若くもないが老いてもおらず、浅黒い肌に彫りの深い顔立ちをしていて、どこか西域の人間らしい雰囲気を身にまとっていた。
「今の話を聞くに、宋側に味方をする呪術師がいるようだ。本物の呪術師を相手に剣槍弓馬で立ち向かうのは骨が折れよ
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